チョイス Choice
ラビットアイ系
系譜・来歴
- 親系譜: 詳細な交配親(雌×雄)は本調査で参照可能なオンライン資料(HTML)からは特定できず、不明。一般にこの時期(1960年代後半)にティフトンで選抜された系統は 'Tifblue' を含むラビットアイ初期品種群の自然受粉実生から選ばれることが多く、Tifblueの自然受粉実生(OP)由来の可能性が示唆されているが、一次資料での裏付けは取れていない(未確認)。
- 来歴: 1940年代から続くジョージア大学/USDA-ARSのティフトン拠点(Coastal Plain Experiment Station, Tifton, GA)におけるラビットアイ系ブルーベリー育種計画の中で選抜された品種の一つ。Tifblue(1955年)、Woodard、Delite/Bluebelle/Briteblue/Southland(1969年同時リリースの一群)など、Dr. W.T. Brightwell およびUSDA協力者が手がけた一連のリリース群と同年(1969年)に公表された系統と整理されている。
- 位置付け: 商業的主役にはならなかったが、北中部フロリダなど Tifblue が暖冬の影響で結実不良を起こしやすい地域での代替・補助品種として推奨された経緯を持つ。
樹体特性
- 樹勢: 強い(vigorous)。生育旺盛。
- 樹形: 半開張〜やや開張性。Tifblue よりも直立性が弱い("less upright than Tifblue")と明記されている。
- 樹高: 数値の明示なし(不明)。一般的なラビットアイ系成木と同等(おおむね 1.8〜3 m 級)と推測される。
結実特性
- 開花期: Tifblue とほぼ同時に開花する晩生開花型("flowers with Tifblue")。
- 収穫期: 晩生(late season)。米国南ジョージアでは 6月下旬〜7月下旬(late June to late July)に成熟。日本国内における具体的な収穫時期データは確認できず不明だが、Tifblue とほぼ同期の晩生として推定される。
- 低温要求量: 約550時間(≦7.2°C/45°F 以下の累積)。
- 収量: 数値での明示なし(不明)。「条件良好な年は機械収穫により生果向け出荷も可能」との記述から商業生産に堪える水準とされる。
- 特記: Tifblue と同時に開花するが、北中部フロリダの暖冬条件下では Tifblue より落果(fruit drop)が少ないという長所が報告されている。
果実特性
- 果実サイズ: 中粒(medium)。
- 果皮色: 良好な青色(good color)。
- 果肉硬度: やや硬い/中程度(fair firmness)。Tifblue 等と比較すると硬度はやや劣る。
- 果梗痕(picking scar): fair(並/可)。
- 食味: 良好(good flavor)。甘味は良好と評価される。
- 裂果性: 明示記載なし(不明)。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性ゾーン: 数値での明示なし(不明)。一般的なラビットアイ系標準(USDA Zone 7〜9)の範囲内と推定される。
- 耐暑性: 良好(ラビットアイ一般特性として)。低温要求量550時間は中〜やや暖地適応の水準。
- 耐病性: 個別の病害(茎枯病・根腐病等)に対する具体的耐性データは本調査では確認できず不明。ラビットアイ系全般としての耐病性・対虫害堅牢性は保持していると推定される。
- 生理的特性: 暖冬後の落果が Tifblue より少ない点が長所として報告されている。
推奨栽培地
- 米国: ジョージア州、特に Tifblue が暖冬で十分性能を発揮しない地域(北中部フロリダ等の暖地) での代替・補助品種として推奨されてきた。"recommended for some areas of Florida where Tifblue does not perform well" と明記。
- 日本: 日本国内での推奨栽培地に関する公的・公開情報は本調査範囲では確認できず不明。低温要求量550時間からは関東以西〜西南暖地での適応が想定される。
受粉相性
- 自家結実性: ラビットアイ系全般の特性として自家不和合性(cross-pollination required)であり、本品種も同様。
- 推奨受粉樹(pollinizers): Climax および Windy が推奨パートナーとして挙げられている。開花期が Tifblue と一致するため、Tifblue・Brightwell・Powderblue 等の中晩生開花ラビットアイ品種とも交配可能と整理する資料がある。
商業利用状況
- 商業栽培: 限定的。条件が整えば機械収穫による生果向け出荷も可能とされ、商業品種としての適性は一定程度認められた。ただし Tifblue・Brightwell・Powderblue 等が主要商業品種としての地位を確立しており、Choice は主役にはならなかった。
- 現在の地位: 現行の主要なジョージア州・米国南東部の推奨ラビットアイ品種リスト(Clemson Extension、UGA Extension の最新ファクトシート等)には含まれていない。1990年代以降のラビットアイ商業生産では Brightwell、Premier、Climax、Powderblue、Tifblue、Alapaha、Vernon、Ochlockonee、Titan 等の新旧品種が中心。
- 位置付け: 歴史的・補助的な役割を持つ古典品種という整理。
日本での状況
- 流通: 日本国内の主要ブルーベリー苗木流通業者(楽天市場の主要苗木店、苗木部、花ひろばオンライン、恵農園、吉野果樹園、ブルーベリーファクトリー岐阜、せらす果樹園、AGRI PICK 紹介品種一覧等)の品種ラインアップで「Choice/チョイス」を確認できず、ほぼ流通していないと判断される。
- 農林水産省 品種登録: 確認できず(不明/登録なしと推定)。
- 栽培事例: 公的・商業的な栽培事例の報告は確認できず不明。
育成者注釈・特記事項
- 育成プログラム: ジョージア州ティフトンの Coastal Plain Experiment Station におけるラビットアイ系ブルーベリー育種は、Dr. T.E. Brightwell(W.T. Brightwell)およびUSDA-ARS の共同事業として 1940年代から系統的に進められ、Tifblue(1955)以降、Choice を含む 1969年前後のリリース群、Brightwell(1983)、近年の NeSmith 育成系統群へと続く長期計画の一部である。
- 重要長所: 暖冬後の落果が Tifblue より少ない点(北中部フロリダの暖地適応性)。
- 重要短所: 果実の硬度・果梗痕が「fair」評価にとどまり、Tifblue・Brightwell など後発主力品種に比べて果実総合評価が劣ること。
- 同名注意: 米国の他作物・他植物には "Choice" を含む品種名(例:'Cara's Choice' 等)が複数存在するため混同に注意。本品種はラビットアイ系単独名称 'Choice' である。
- データ制約: Choice 単独の専門ファクトシート(拡張版)は現在 Web 上で公開が限定的で、本調査では UGA/Clemson/Georgia Cultivars 系の二次資料に依拠した。詳細な交配親・特許の有無等の一次情報は 不明。
参考情報源
- UGA Extension - Blueberry Cultivars for Georgia (NeSmith / Krewer)
- 同内容の別配布版(PDF)
- Clemson Cooperative Extension - Blueberry Factsheet (HGIC 1604)
- Georgia's Integrated Cultivar Release System (UGA 公式品種データベース)
- UGA Blueberry Breeding Program 概要
- UGA CAES Field Report – Blueberry Production in South Georgia
- Blueberries (eXtension) - ラビットアイ系品種解説
- Vaccinium virgatum (Wikipedia)