センチュリオン Centurion
ラビットアイ系
系譜・来歴
- 育種担当: James Ballington(ジェームズ・バリントン)、Gene Galletta(ジーン・ガレッタ)両氏(NCSU公式情報)。
- 親系譜: 母本「W-4」 × 父本「Callaway(カラウェイ)」(NCSU Blueberry Genetics & Genomics Laboratory公式ページに明記)。
- ノースカロライナ州における晩生品種の代表として開発された、伝統的なNCSU系ラビットアイ品種。
- 米国農務省(USDA)とノースカロライナ農業試験場の共同事業として1978年に発表されたとする情報源もあり、年次表記は資料間で1977〜1978年とゆれが見られる。
- 自身の名前を冠した後継品種開発にも用いられており、NCSU新品種「Onslow(オンズロー)」は「Premier × Centurion」の交配により育成された。また、ニュージーランドのPlant & Food Research社による「Centra Blue®」は「Centurion × Rahi」の交配から育成されており、Centurionは育種素材として国際的にも利用されている。
樹体特性
- 樹勢: 旺盛(vigorous)。
- 樹形: 直立性で、極めて狭く(very narrow)、コンパクトな樹形。
- 萌芽・吸枝(サッカー)の発生は限定的で、新梢のサッカー化は少ない。
- 成熟時の樹高: 約6〜8フィート(約1.8〜2.4 m)程度(米国流通カタログでの記載)。
- 直立で狭い樹形のため、栽植間隔を比較的詰めて植栽でき、機械収穫適性も評価されている。
結実特性
- 開花期: 晩咲き(late flowering)。NCSU試験圃場で「最も遅咲き・最も遅熟」と評価されている。
- 収穫期(晩生): 6月下旬〜8月上旬(米国南東部基準。地域により7月〜8月の晩季収穫)。
- 低温要求量(chill hours): 約550〜700時間(資料により550〜600時間とする情報源と700時間とする情報源があり、550〜700時間と幅をもたせて理解するのが妥当)。
- 自家結実性: 自家結実性あり(self-fruitful, self-fertile)。NCSU公式情報および複数のナーセリーで明記。ただし他のラビットアイ品種との混植により着果・果実肥大が向上する。
- 晩咲きであるため、晩霜・晩冬の寒害の回避に有利とされる。
果実特性
- 果実サイズ: 中粒〜中大粒(medium)。
- 果皮色: 中濃〜濃い青色(medium-dark blue/darker fruit coloring)。Centurionは「やや暗色(黒みがかった青)」が特徴とされる。
- 果肉: しっかりしているが、他品種に比べて「やや軟らかめ(slightly less firm)」との評価もある。
- 風味: 良好(good flavor)。香りが強く、わずかにスパイシーな風味があるとも記述される。
- 果房(クラスター): 大きな果房を形成。
- 裂果: 大雨の後に裂果する可能性が指摘されている。
- 収量: 旺盛な樹勢から良好と評価されているが、ティフブルー(Tifblue)等の主力品種と比較した正確な数値データは確認できず(不明)。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性: USDAハードネスゾーン7〜9程度(ラビットアイの一般的な範囲。Centurion固有の正式ゾーン公表値は不明)。晩咲きのため晩霜被害を受けにくい。
- 耐暑性: 米国南東部(ノースカロライナ・ジョージア等)の高温多湿環境に適応。
- 病害虫耐性: ラビットアイ全般に共通する高い病害抵抗性(ステムキャンカー、根腐病、ミイラ病等への相対的耐性)が期待されるが、Centurion固有の詳細な病害抵抗性評価データは公開情報からは確認できず(不明)。
推奨栽培地
- 米国: ノースカロライナ州沿岸平野(Coastal Plain)、ピードモント(Piedmont)、フットヒルズ(Foothills)地域で推奨。ジョージア州、アラバマ州、ミシシッピ州などラビットアイ栽培適地全般。
- 日本での推奨地: ラビットアイ系の一般適地に準じ、関東以西〜九州の比較的温暖な地域。北日本では低温要求量を満たす一方、晩生のため早霜による収穫終盤の品質低下に注意。
受粉相性
- 自家結実性ありとされるが、収量・果実サイズ向上のために他のラビットアイ品種との混植が推奨される。
- 推奨される受粉樹(米国ナーセリー情報): Baldwin(ボールドウィン)、Delite(デライト)など、開花期が重なる中〜晩生のラビットアイ品種。
- ハイブッシュ系との交配は、染色体倍数性(ラビットアイは六倍体、ハイブッシュは四倍体)の違いから不適。
商業利用状況
- NCSUのラビットアイ育成史において重要な位置を占める「古典的(older)」品種で、商業園・PYO(pick-your-own)園・家庭果樹いずれにおいても、晩季収穫の延長品種として米国南東部で長く利用されてきた。
- 直立で狭い樹形と旺盛な樹勢から、商業圃場での密植・機械収穫にも適性がある。
- 後続のNCSU晩生品種(Onslow等)の育種親として活用された実績があり、育種素材としての価値が高い。
日本での状況
- 日本国内では、ラビットアイ系晩生品種として一部のブルーベリー専門農園・観光農園で栽培事例が確認できる(例: 「ゆたか農園」のベリー栽培品種一覧にCenturionが含まれるとの情報)。
- 主要な日本のオンライン苗木店(花ひろばオンライン、オーシャン貿易、国華園、楽天市場のラビットアイ苗木カテゴリ等)の標準ラインアップでは、Centurion単独での流通は限定的で、ティフブルー、ホームベル、ブライトウェル、ラヒ等の主力品種ほど広く流通しているとは確認できない。
- 一般家庭向け苗木としての流通量は限定的であり、入手は専門ナーセリーへの個別問い合わせが現実的。
育成者注釈・特記事項
- NCSU公式ラボページ上は1977年リリースと記載される一方、CooksInfo等では1978年USDA・NCSU共同発表と記述されており、年次表記は資料により1977/1978年で揺れがある。
- 「最遅咲き・最遅熟」と評価されており、シーズン終盤の収量確保・販売期延長を目的とする栽培者にとって戦略的な品種。
- 晩咲きのため春の遅霜回避に有利だが、雨天時の裂果リスクと果実が「やや軟らかめ」となる傾向には留意が必要。
- 染色体倍数性は六倍体(ラビットアイ標準)と推定される(個別の倍数性研究記載は不明)。
参考情報源
- NCSU Blueberry Genetics & Genomics Laboratory「Centurion」品種ページ
- NCSU Blueberry Genetics & Genomics Laboratory「Rabbiteye」品種一覧
- NCSU Blueberry Breeding Program History
- Rabbit Ridge Berry Farm「Centurion」
- CooksInfo「Centurion Blueberries」
- Gardener Direct「Centurion Rabbiteye Blueberry」
- SiteOne「Vaccinium ashei Centurion Rabbiteye Blueberry」
- Petals from the Past「Blueberry 'Centurion'」
- NCSU Extension「Growing Blueberries in the Home Garden」
- NCSU Extension「Blueberry Production for Local Sales and Small Pick-Your-Own Operators」
- ブルーベリースター三河「オンズロー(Onslow)」(CenturionをOnslowの親として記述)
- ゆたか農園 ベリーの栽培品種一覧(Centurion栽培事例)