パウダーブルー Powderblue
ラビットアイ系
系譜・来歴
- 交配親: 'Tifblue' × 'Menditoo'(メンディトゥ)。一部日本語資料では「メンデイト」「Mandarin × Tifblue」と表記される例があるが、英語圏の主要資料(NCSU・USDA-ARS、Berries Unlimited 等)では Tifblue × Menditoo の組合せが定説。
- 兄弟品種: 'Brightwell'(ブライトウェル)、'Briteblue' など、同時期にNCSU/USDA-ARSプログラムから派生したラビットアイ群と近縁。
- 育成目的: 'Tifblue' の改良後継として、果粉(ブルーム)が均一に厚く乗る外観性の向上、雨天時の裂果耐性、果実保持性、機械収穫適性の付与。
- 1978年にNCSUとUSDA-ARSの共同で公的にリリースされた(パブリック品種)。日本への導入は1990年代後半(日本語資料では1998年導入とする記述あり)。
樹体特性
- 樹勢: 中〜強。生育旺盛で安定した枝伸長を示す。
- 樹形: 直立性〜やや開張性(upright and spreading)。整然とした上向きの枝姿で、観賞性も高い。
- 樹高: 成木で約2.4〜3.6m(8〜12フィート)に達するとの報告あり。
- 萌芽・展葉は標準的で、栽培管理は容易な部類。
結実特性
- 開花期: ラビットアイとしては中〜晩生。晩霜被害を受けにくい時期に開花するため、霜害リスクが比較的低い。
- 収穫期: 中〜晩生。米国南部基準: 6月下旬〜8月上旬(Gainesville, FL では 6月20日頃から)。日本(暖地〜中間地): 7月中旬〜8月下旬(栽培地により差)。
- 低温要求量: 約550〜650時間(資料により550〜700時間、多くの資料は約600時間と記載)。
- 自家結実性: 低い。他家受粉が必須で、別のラビットアイ品種の混植が必要。
- 結実までの年数: 定植2年目から着果開始。
- 収量: 成木で1株あたり約8〜14ポンド(約3.6〜6.4kg)、灌水・管理良好な圃場では15〜20ポンド前後の報告もあり、ラビットアイの中では多収性。
果実特性
- 果実サイズ: 中粒〜中大粒(直径14〜17mm程度、1カップあたり75〜80粒)。
- 果皮色: 明るい青色(ライトブルー)。
- ブルーム(果粉): 非常に厚く均一に乗る。粉白色の外観が品種名「Powderblue」の由来であり、ラビットアイの中でも特にブルームの量が顕著。
- 食味: 甘味主体で酸味は控えめ。完熟期に糖度が上がり、芳香性も良好。サブアシッド(弱酸味)系の典型的なラビットアイ風味。
- 果肉・食感: 果肉はしっかりとして硬めで、果皮も丈夫。日持ち良く輸送性に優れる。
- 果柄痕: 小さく乾いており、機械収穫に向く(dry stem scar)。
- 裂果性: 雨天時の裂果に対しては 'Tifblue' より耐性が強く、ラビットアイの中でも雨に強い品種として評価される。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性: USDAゾーン6〜9(一部資料は7〜9)に適応。ラビットアイとしては標準的で、ハイブッシュより耐寒性は劣る。
- 耐暑性・耐乾燥性: 強い。米国南部やジョージア・ノースカロライナの夏季高温下でも安定生産。
- 炭疽病(Anthracnose, Colletotrichum spp.)に比較的強いとされる。
- 果実裂果(クラッキング)に対する耐性が高い。
- 全般に病害虫に対して強健で、ラビットアイ特有の頑健性を持つ。
- 落果性: 完熟後も樹上で果実が脱落しにくく、'Tifblue' より保持性が良い。
推奨栽培地
- 米国: ノースカロライナ州沿岸平野部(Coastal Plain)、ピードモント、フットヒルズ(Foothills、乾燥した高地土壌)で推奨。ジョージア州、フロリダ州北部、サウスカロライナ、ミシシッピ等の南部一帯。
- USDAハーディネスゾーン6〜9。
- 日本: 関東以西の暖地〜中間地で栽培性能を発揮。九州・四国・関西・関東南部のラビットアイ栽培適地で広く植栽可能。
- 土壌: pH4.5〜5.2の酸性土壌、有機物に富み排水良好な砂壌土〜壌土が最適。
受粉相性
- 自家結実性: 低く、他家受粉が必須。
- 推奨受粉樹(同じラビットアイ系統で開花期が揃うもの): 'Tifblue'(ティフブルー)— 最も推奨される定番の組合せ/'Brightwell'(ブライトウェル)/'Premier'(プレミア)/'Climax'(クライマックス)/'Alapaha'(アラパハ)/'Ochlockonee'(オクロコニー)
- 2品種以上のラビットアイ混植により、結実量・果実サイズが顕著に向上する。
商業利用状況
- 米国南部のラビットアイ商業生産における主要品種のひとつ。
- 機械収穫適性があり(果柄痕が小さく乾燥、果実が硬い)、生食用および加工用の双方で利用される。
- 'Tifblue' とともに、米国南部の伝統的ラビットアイ商業栽培の中核品種として長年位置づけられてきた。
- 観光農園(U-Pick)、家庭果樹、商業フレッシュマーケット、加工原料、観賞樹としても利用。
日本での状況
- 1990年代後半(資料により1998年)に日本へ導入されたとされ、ラビットアイ系の代表品種として観光農園・市民農園・家庭栽培で広く流通。
- 日本国内のブルーベリー苗木業者・園芸店で「パウダーブルー」の名で一般販売されている定番品種。
- 暖地〜中間地のラビットアイ栽培地(関東以西)の観光園で 'Tifblue' 'Brightwell' 等とセット植栽されることが多い。
- 厚いブルームによる美しい外観と甘味の良さから、直売・摘み取り園で人気が高い。
育成者注釈・特記事項
- 名称由来: 果実表面に均一かつ厚く乗る粉白色のブルーム(果粉)から「Powderblue(粉のような青)」と命名された。
- 'Tifblue' の改良後継として位置づけられ、ブルーム外観・裂果耐性・樹上保持性で 'Tifblue' を上回る一方、食味は 'Brightwell' ほどの極上評価には至らないとの日本語専門家の評価あり。
- 大きな欠点が少なく、栽培容易性・収量安定性・果実外観・耐病性のバランスに優れる「標準品種(スタンダード)」として国際的に評価されている。
- 公的機関(NCSU/USDA-ARS)育成のパブリック品種であるため、植物特許による苗木流通制限はない。
参考情報源
- Powderblue: Rabbiteye Blueberry Variety – blueberries.extension.org
- Powderblue: Rabbiteye Blueberry Variety – articles.extension.org
- Growing Blueberries in the Home Garden – NC State Extension Publications
- PowderBlue Rabbiteye Blueberry – Berries Unlimited USA
- Powderblue Blueberry – Hartmann's Plant Company
- Powderblue Rabbiteye Blueberry Plant – Ison's Nursery & Vineyard
- Powderblue Blueberry Bush – Nature Hills Nursery
- Blueberry, Powderblue (Rabbiteye) – Plants for Everyone
- Powderblue Rabbiteye Organic Blueberry Plant – Backyard Berry Plants
- Establishment and Maintenance of Blueberries – Mississippi State University Extension
- What varieties of blueberries should be grown? – Mississippi State University Extension
- Blueberry – Clemson Cooperative Extension HGIC
- Blueberry Variety Selection in the Home Fruit Planting – Penn State Extension
- パウダーブルー|ブルーベリーファームおかざき
- パウダーブルー|ブルーベリーファクトリー岐阜
- パウダーブルー|いしいナーセリー ブルーベリーパーフェクトガイド
- ブルーベリーの品種|一般社団法人 日本ブルーベリー協会