ティフブルー Tifblue
ラビットアイ系
系譜・来歴
- 親系譜: Ethel × Clara(エセル × クララ)の交配により得られた実生選抜系統。
- 来歴: 1940年代初頭にジョージア州ティフトン(Tifton)で開始されたラビットアイ系ブルーベリー育種事業の代表的成果。1944年にDr. Tom Brightwellがティフトンに採用され、USDAのDarrow、Scott、Galletta、Moore、Draperらと共同で進めた育種計画から1955年に発表された。
- 品種名の由来: 育成地である「Tifton」(ジョージア州)の地名と、果実の鮮やかな青色(blue)に由来。
- 後代品種: 'Ochlocknee'(オクロコニー)の親としても使用されており、現代のラビットアイ系育種の中核遺伝資源。
樹体特性
- 樹勢: 極めて強い(vigorous)。ラビットアイ系の中でも最も生育旺盛な品種の一つとされる。
- 樹形: 直立性〜半直立性(upright〜semi-upright、open vase 型)。高木型で大株になる。
- 樹高: 約 1.8〜3.0 m(6〜10 ft)。日本の家庭栽培でも 1.5〜3 m に達する。
- 特徴: 紅葉が美しく観賞性も高い。長寿で安定生産が見込める。
結実特性
- 開花期: 関東標準で4月中旬〜4月下旬(米南部では晩冬〜早春)。中〜晩生開花。
- 収穫期: 中晩生(mid-late season)。米国南ジョージア:6月下旬〜8月上旬/日本(関東標準):7月中旬〜8月上旬(産地により7月下旬〜9月中旬まで延びる例あり)
- 低温要求量: 約 600〜700時間(45°F=7.2°C 以下)。多くの資料で 650時間 が中心値として示される。一部資料では 550〜600時間 とも。注: 当初指示の「400〜500h」より長く、暖地適応性は高いが極暖地では不足傾向。
- 収量: ラビットアイ系の中で最も多収とされ、ラビットアイ品種の収量比較における基準(standard)。家庭樹で1株あたり最大約10kgの収量例も報告される。
果実特性
- 果実サイズ: 中粒(small to medium〜medium)。資料によっては「large, round」と記載されるが、現代の大粒品種比較では中粒が一般的評価。
- 果皮色: 明るい青色(light blue)で、果粉(ブルーム/粉白)が多く付く。
- 果肉: 非常に硬く(very firm)、貯蔵性・輸送性に優れる。
- 果梗痕(スカー): 小さく乾いた良好なスカー(small, dry scar)。
- 食味: 完熟前は酸味が残るが、完熟果は甘味と酸味のバランスが良く、香りも豊か。重要:果皮が青色になっても5日以上経過してから収穫するのが推奨。早採りは酸味が強い。「完熟果の食味はブルーベリー最高峰」と評価する国内販売業者もある。
- 裂果性: 雨にやや弱く、降雨期に裂果が発生しやすいとされる。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性ゾーン: USDA Zone 7〜9(資料により7〜10)。ラビットアイ系の中では最も耐寒性が強い品種の一つとされる。
- 耐暑性: 優秀。暖地〜温暖地に高度に適応。
- 耐乾性: 良好(heat and drought tolerance)。
- 病害虫耐性: 全般に強健で、ラビットアイ系特有の病害虫耐性を保持。具体的な耐病性数値は不明だが、商業栽培における主要病害(茎枯病、根腐病など)に対し概ね頑健と評価される。
推奨栽培地
- 米国: ジョージア州を中心に米南東部(Zone 7〜9)の広域。ラビットアイ商業栽培地の中核品種。
- 日本: 関東以西の太平洋側、東海、近畿、中国、四国、九州など暖地〜温暖地全般。家庭果樹としても極めて広域に植栽可能。
- 寒冷地(東北北部・北海道)には不向き。
受粉相性
- 自家結実性: 自家不和合性が強く、他家受粉が必須(資料により「自家受粉は可能だが結実低下」とするものもあるが、実用上は他品種との混植が必要)。
- 推奨受粉樹: 同一系統(ラビットアイ系)の別品種。'Brightwell'(ブライトウェル)、'Powderblue'(パウダーブルー)、'Climax'(クライマックス)、'Premier'(プレミア)、'Brightblue'(ブライトブルー)
- 注:ハイブッシュ系とは開花期や倍数性が異なるため受粉樹として不適。
商業利用状況
- 1955年の発表以来、米国南東部のラビットアイ商業栽培における 基幹品種 として長期間君臨。
- 多収性、果実の硬さ、優れた貯蔵・輸送性から、生鮮販売・加工(ジャム、冷凍)両方に利用。
- ラビットアイ系の収量・品質評価における 業界標準(standard) として位置付けられる。
- 樹上で完熟を待ってから収穫しても落果しにくく、収穫適期幅が広い点も商業上の利点。
日本での状況
- 国内導入: 戦後の日本ブルーベリー導入初期から代表的ラビットアイ品種として広く普及。
- 流通状況: ラビットアイ系の中で 国内最も普及している定番品種 の一つ。観光農園、商業園、家庭栽培の広範囲で植栽されている。
- 入手性: 苗木は園芸店・通販で容易に入手可能。1年生〜2年生挿し木苗、接ぎ木苗が一般流通。
- 栽培評価: 樹勢が強く育てやすいため初心者向けと推奨される一方、完熟判断(青くなってから5日以上)が難しく早採りすると酸味が強いため「実は初心者泣かせ」との声もある。
育成者注釈・特記事項
- ラビットアイ系最重要古典品種であり、1955年の発表から70年以上が経過した2026年時点でも現役で広く栽培される長寿品種。
- 多くの後代育成品種の親として遺伝的貢献度が高く、ブルーベリー育種史上の基幹素材。
- 樹勢・収量・耐病性・適応性のバランスがきわめて優れる総合力型品種。
- 完熟果の食味は卓越するが、外観で青色になった時点と食味の完熟が異なる点(いわゆる「外青内未熟」)が栽培上最大の注意点。
- 雨による裂果が発生しやすいため、収穫期の降雨対策(雨除け、適期収穫)が品質維持に重要。
参考情報源
- eXtension Foundation – Tifblue: Rabbiteye Blueberry Variety
- Texas Master Gardeners (Henderson County) – Blueberry Tifblue Rabbiteye
- Berries Unlimited – Tifblue Rabbiteye Blueberry
- Cypress Basin Master Gardeners – Tifblue Blueberry
- Chestnut Hill Outdoors – Tifblue Blueberry Bush
- Mississippi State University Extension – Fruit and Nut Review: Blueberries
- Georgia Blueberry Commission – History
- 国華園 engei.net – ティフブルー品種ページ
- ブルーベリーラボ直方 – ティフブルー
- ツクベリーやさと – ティフブルー
- 楽天 花広場 – ブルーベリー収穫時期早見表