プレミア Premier
ラビットアイ系
系譜・来歴
- 親系譜: 'Tifblue'(ティフブルー)× 'Homebell'(ホームベル)
1978年にノースカロライナ州立大学(NCSU)と米国農務省農業研究局(USDA-ARS)の共同事業として正式に発表されたラビットアイ系品種である。
米国南東部(ノースカロライナ、ジョージア、ミシシッピ州など)の早生ラビットアイ商業生産を目的に育成され、当時主要であった旧来品種より果実サイズと品質を向上させることが狙いとされた。
樹体特性
- 樹勢: 強(vigorous)。ラビットアイ系の中でも成長旺盛で、放任でも比較的よく育つ。
- 樹形: 直立性(upright)で、株元から多くのシュートが発生し株立ち状の自然樹形となる。
- 樹高: 成木で約1.8〜2.4 m(6〜8 ft)。
- 耐土壌性: 他のラビットアイ品種よりやや高めの土壌pH(5.0〜5.5)にも比較的順応するとされる(NCSU報告)。
結実特性
- 開花期: 5月(米国南部、白〜淡桃色の花)。日本では4月中下旬。
- 収穫期: 極早生〜早生。米国南ミシシッピでは5月下旬〜6月上旬で、'Climax' とほぼ同時期かやや先行。日本(愛知県岡崎市など)では7月上旬〜7月下旬で、ラビットアイ系の「先頭バッター」として扱われる。
- 低温要求量: 約500〜550時間(一般に550時間程度と紹介される)。
- 収量: 米国における報告では1株あたり約2.7〜4.5 kg(6〜10 lbs)、別報では4.5〜6.8 kg(10〜15 lbs)と豊産性。日本では花の奇形が出やすく若木では受粉不良で収量がやや少なめになる傾向があり、大株化に伴って結実が安定する。
果実特性
- 粒径: 中粒〜大粒(約14〜17 mm、平均的に中粒との記載が多い)。
- 果色: 濃いブルー(深い青黒色)で外観良好。
- 果肉・食感: 硬く締まった果肉で、はっきりとした「パリッ」とした食感(snap)が特徴。
- 風味: 甘味豊か(糖度約16〜18.8度)で酸味は穏やか(低酸)。
- 果梗痕(stem scar): 良好でドライスカー、機械収穫適性あり。
- 裂果: 皮が丈夫で裂果が少ない。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性: USDA Zone 7〜9 で栽培推奨。日本では東北南部〜九州で栽培可能とされる。日本の生産現場でも「枯れた株を見たことがないほど丈夫」との報告がある。
- 耐暑性: ラビットアイ系として高く、米国南東部の高温多湿気候に適応。
- 病害虫耐性: 米国南部の生産者からは根腐れ病(root rot, Phytophthora 系)およびミイラ果病(Mummy Berry, Monilinia vaccinii-corymbosi)に対して比較的高い抵抗性を示すと評価されている。
推奨栽培地
- 米国: ノースカロライナ州、ジョージア州、サウスカロライナ州、アラバマ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州、フロリダ州北部、テキサス州東部などの南東部ラビットアイ栽培地帯。USDA Zone 7a〜9b。
- 日本: 東北南部から九州まで広く適応。低温要求量が約550時間と低めで、暖地〜温暖地のラビットアイ栽培に向く。
受粉相性
- 自家結実性: 自家不和合性。1本では十分な結実が得られないため、ラビットアイ系の他品種との混植が必須。
- ※eXtension の一部記述では "self-fruited" と紹介されるが、実際の生産現場および主要種苗業者の指南は「他品種混植が必要」とするのが一般的である。
- 推奨受粉樹: 'Climax'(クライマックス)との相性が特に良いとされ、開花時期がほぼ同期する。'Brightwell'、'Tifblue'、'Powderblue'、'Austin'、'Alapaha'、'Montgomery' 等の早〜中生ラビットアイ品種も適合。
商業利用状況
- 米国南東部(特にジョージア州、ノースカロライナ州、ミシシッピ州)で生鮮市場向けの早生ラビットアイ主要品種の一つとして商業栽培されてきた歴史がある。
- 機械収穫(mechanical harvesting)にも適し、生鮮出荷および加工原料の双方に対応可能との評価がある。
日本での状況
- 国内では古くから導入されているラビットアイ系の定番早生品種で、家庭園芸用および観光農園・小規模商業栽培で広く流通している。
- 主要種苗業者(花ひろばオンライン、苗木部、Berry's Life 等)が苗木を恒常的に取り扱っており、入門品種として推奨されることが多い。
- 観光摘み取り農園(例: 愛知県岡崎市「ブルーベリーファームおかざき」)では2006年から栽培開始、ラビットアイ系収穫期の先頭品種として位置付けられている。
- 国内栽培上の留意点として、若木期に花の奇形(不正形花)が発生しやすく受粉不良で収量が少ないが、樹齢を重ねるにつれ結実が安定するとの報告がある。
育成者注釈・特記事項
- 1978年発表当時、米国南東部の生産者向けに「従来品種より大粒・高品質な早生ラビットアイ」を提供することが狙いとされた。
- 土壌pH適応幅が広く、相対的に高pH(pH 5.0〜5.5)でも生育する点はラビットアイ系の中でも特長として挙げられる。
- 機械収穫に適する果梗離れの良さ(dry stem scar)と裂果の少なさを併せ持つ点で、商業栽培向け早生品種として評価されてきた。
- 日本では「中粒・極甘・低酸・パリッとした食感」というキャラクターから家庭果樹・観光農園向けに普及。
- 特許番号は確認できず(米国植物特許リスト上、Premier に該当する USPP 番号は本調査範囲では特定不能 → 不明)。
参考情報源
- Premier: Rabbiteye Blueberry Variety – eXtension blueberries
- NCSU Blueberry Genetics & Genomics Laboratory – NCSU Blueberry Varieties
- NCSU Blueberry Breeding Program History
- NCSU Blueberry Genetics & Genomics Laboratory – Rabbiteye
- Berries Unlimited – Premier Rabbiteye Blueberry
- Boyd Nursery – Premier Rabbiteye Blueberry
- 苗木部(花ひろばオンライン)プレミア ブルーベリー ラビットアイ系の特徴と育て方
- 花ひろばオンライン プレミア(ラビットアイ系 ブルーベリー)
- ブルーベリーファームおかざき プレミア解説
- みんなの趣味の園芸 そだレポ プレミア・オースチン