ラストコール Last Call
ノーザンハイブッシュ系
系譜・来歴
- 交配組合せ: ♀ 'Elliott'(無特許)× ♂ 'Ozarkblue'(USPP10,035)
- 交配年: 2002年
- 選抜地・年: 米国オレゴン州 Lowell、2006年に単一植物として選抜
- 育成者(発明者): David M. Brazelton および Adam L. Wagner
- 譲渡先(権利者): Fall Creek Farm and Nursery, Inc.
- 位置づけ: Elliott の晩生性に Ozarkblue の風味・果実品質を組み合わせ、Aurora/Elliott と同じ極晩生窓に収穫できる商業的代替を狙った育種。Fall Creek® Genetics™ の専有ラインアップに位置付けられている。
樹体特性
- 樹勢: 旺盛(vigorous)
- 樹形: 直立性(upright)で良好な作業性
- 樹高: 4年生で約48インチ(約122cm)
- 生長特徴: Fall Creek の栽培ノートでは、晩夏まで草勢が残ると登熟・耐寒性に影響するため、窒素は通常より低めに設定することが推奨されている。
結実特性
- 開花期: 4月下旬〜5月中旬(オレゴン)
- 収穫期: 極晩生。平均収穫日 8月17日、最終摘み 9月25日(オレゴン試験地、特許明細書)。Aurora・Elliott と同時期かわずかに重なる。
- 低温要求量: 系譜から推定で約1,000時間(高チル区分/HIGH Chill)
- 収量: 高収量。オレゴンでの2011〜2012年試験で Aurora を上回る収量を示した。
- 着色・登熟: 数日収穫を遅らせることで酸度が下がり、より甘味が強まる。
果実特性
- 果実サイズ: 中〜大粒(平均約2.15g)
- 形状: 扁平球形(オブレート)
- 果皮色: ライトブルー(明るい青)
- 果肉硬度: 非常に硬い(196.07 g/mm 変位、Elliott より硬い)
- 食味: 「クラシック」なブルーベリー風味でやや芳香あり、Aurora・Elliott より甘く酸味控えめ。ブラインドテイスティングで両親系より高評価。
- 棚持ち(shelf life): 約28日(Fall Creek 公表値)。貯蔵前後とも Elliott より良好な硬度を維持。
- 用途: 主用途は生食向け商業生産(フレッシュマーケット)。加工・直販向け収穫期延伸用としても推奨。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性: USDA ゾーン 4〜7(Nourse Farms 表記)/特許明細書ではゾーン 7〜8 と推定。両者の差は試験圃場と販売推奨範囲の違いと考えられる。
- 耐暑性: 不明(高チル品種のため温暖地での適応性は限定的と推定されるが、明示記載なし)
- 病害抵抗性: ステムブライト、ボトリオスフェリア・ステムキャンカーへの抵抗性は未確定。根腐病、フォモプシス・ツイッグブライト、細菌性キャンカー、灰色かび病、葉斑病、葉さび病に対しては「過度に感受性は示さない」とされる(特許明細書記載)。総合的な耐病プロファイルは未公表。
- 生理障害: 晩夏の徒長による寒害リスクが指摘されており、低窒素管理が推奨。
推奨栽培地
- 高チル要求(約1,000時間)に応えられる温帯〜冷涼地
- 米国太平洋岸北西部(オレゴン、ワシントン)、米国北東部、五大湖地域、カナダ低地、ヨーロッパ北部などの晩生窓を活かせる地域
- ゾーン 4〜7 の生産者で、Aurora/Elliott の代替・補完として収穫期を引き延ばしたい場合に適合
受粉相性
- 自家結実性: 公的資料に明示記載なし(不明)。ハイブッシュ一般則として、同時期開花の他品種と混植することで結実・果実サイズが向上する。
- 推奨受粉樹: Aurora、Elliott など同じ極晩生開花期の品種が同調しやすいと考えられるが、Fall Creek 公式に特定の組合せ推奨は確認できない(不明)。
商業利用状況・ライセンス
- 権利状態: USPP25,386 により米国内で特許保護下。無断増殖・販売不可。
- 流通モデル: Fall Creek® Genetics™ の専有品種として、Fall Creek 直営苗木および同社が認可したライセンス先苗木業者(例:米国 Nourse Farms)からのみ正規苗が供給される。
- ロイヤリティ: Fall Creek® Collection プラットフォームでは、ライセンス料・最低発注量なしで苗を購入でき、苗 1株あたりのロイヤリティのみが課金される方式。Last Call も「Royalties may apply」と明記。
- 主用途: 商業フレッシュ生産。極晩生窓を活かした出荷後半戦略品種としての位置づけ。
日本での状況
- 日本国内流通: 公開情報の範囲では、Last Call の日本国内における正式なライセンス苗供給・契約栽培の事例は確認できない(不明)。Fall Creek の公表する直営拠点・ライセンス・ディストリビュータ網(米国、メキシコ、ペルー、スペイン、オランダ、南アフリカ、加BC、チリ、コロンビア、アルゼンチン、ウルグアイ、韓国など)の中に日本は明示されていない。
- 個人輸入・無許諾増殖: 米国特許品種であり、日本においても育成者権・契約条項の対象となるため、無許諾の輸入苗・自家増殖販売は権利侵害リスクあり。
- 想定導入経路: 日本で正規栽培するには Fall Creek または同社認可ディストリビュータとの直接ライセンス契約が必要となる見込み。
育成者注釈・特記事項
- 同じ極晩生窓で長らく標準だった Elliott の「酸味の強さ」を改善し、Aurora の食味に対抗する選抜として開発された経緯がある。
- 大粒・高硬度・長棚持ち(28日)は、輸送距離の長い北米シーズン終盤の市場で重要な商業価値となっている。
- 窒素を絞り、登熟期間を伸ばす「ゆっくり収穫する」管理が、本品種の食味ポテンシャルを引き出す鍵とされる。
- 自家結実性、耐暑性、温暖地適応性、日本導入実績は公開情報からは確認できず「不明」。
参考情報源
- Fall Creek Farm & Nursery 公式品種ページ「Last Call」
- Fall Creek Catalogs 「Last Call®」紹介記事
- Google Patents USPP25386P3 "Blueberry plant named 'Last Call'"
- FreePatentsOnline PP25386
- Nourse Farms 商品ページ「Last Call Blueberry」
- Fall Creek® Collection(ライセンス制度)
- Fall Creek® Breeding プログラム
- International Blueberry Organization「Fall Creek Farm & Nursery」