おおつぶ星 系列 Ootsububoshi 他
ノーザンハイブッシュ系
系譜・来歴
群馬県では1981年から、利根沼田地域に適したハイブッシュブルーベリー品種の選抜を開始した。導入品種「コリンズ(Collins)」および「コビル(Coville)」の自然交雑実生から有望系統が選抜され、3系統が「○○星」シリーズとして品種登録された。育成者は中條忠久(Tadahisa Nakajō / Chūjō)および堀込充(Mitsuru Horikomi)の両氏で、出願者・登録者は群馬県。
- おおつぶ星:1981年播種の Collins × Coville 自然交雑実生からの選抜(1997年出願、1998年登録/登録番号6926)。
- あまつぶ星:同じく1981年播種の Collins × Coville 自然交雑実生からの選抜(1999年登録/登録番号7176)。
- はやばや星:1981年に播種された Collins および Coville の自然交雑実生集団から選抜され、2004年登録(登録番号11722)。
なお、ユーザー提示の「Bluecrop × Berkeley」という親系譜は確認できず、農林水産省品種登録情報および群馬県農業技術センター研究報告では「コリンズ」と「コビル」の自然交雑実生からの選抜と明記されている。
樹体特性
- おおつぶ星:樹勢はやや強い〜中程度、樹姿は直立〜やや開張性。樹高は栽培管理下で1.5m前後にコンパクトに育てやすい。
- あまつぶ星:樹勢は中〜強、樹姿は直立性。3兄弟の中では最も強健とされ、初心者にも栽培しやすい。
- はやばや星:樹勢は中位、樹姿は開張性。葉は大型で花房は短く花冠は大きい。
3品種とも関東内陸の夏季高温・冬季の低温(利根沼田は標高があり寒冷)に適応する。低温要求量(チル時間)は、ノーザンハイブッシュ標準の概ね800〜1,000時間相当と推定されるが、農林水産省登録情報および群馬県農業技術センター公開資料では具体的なチルアワー数値は明示されておらず、ここでは「不明(標準的なノーザンハイブッシュに準ずる)」とする。
結実特性
- 開花期:群馬県利根沼田地域(標高約400m)における露地栽培で、3品種とも概ね同時期(4月下旬〜5月中旬)に開花し、相互受粉が可能。
- 収穫期(関東内陸部基準):
- はやばや星:極早生〜早生。収穫盛期は7月上旬。
- おおつぶ星:中生。収穫盛期は7月中〜下旬。
- あまつぶ星:中晩生。収穫盛期は7月下旬〜8月上旬。
- 収量:いずれも中程度で安定した豊産性。20cm未満の細い結果枝を整理する剪定により大粒果率が向上することが、農研機構関東東海北陸農業研究成果情報で示されている。
果実特性
- おおつぶ星:果実重 約2.0g(大粒、最大で20mm前後の扁円果)。果皮は明青色でブルームが多く、果肉は硬く日持ち性に優れる。酸味がやや強く、糖度はおよそ9〜10度。香気・コクのある濃厚食味。
- あまつぶ星:果実重 約1.9g(大粒)。果皮は明青色、果肉は中位で、糖度が高く(およそ10〜12度)、酸味は穏やかで甘味が強く食べやすい。デザート向き。
- はやばや星:果実重 約1.4〜1.6g(中〜中大粒)。果皮は明るい青色、やや円形〜扁円。酸味がやや強く食味は濃厚。種子はやや多い。
なお、「果実径25mm前後」という言及がユーザー提示にあるが、農林水産省登録情報および育成機関データでは果重ベースで2.0g前後(直径概ね18〜22mm相当)と記載され、25mmは栽培条件・剪定強度で得られる極大果のサイズと解される。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性:おおつぶ星は親品種(Collins, Coville)と比較してやや弱いと農林水産省登録情報に記載。あまつぶ星・はやばや星は中程度で、利根沼田の冬季低温(−10℃前後)下で実用的に栽培可能。
- 耐病性:ノーザンハイブッシュ標準。茎枯病・斑点病・灰色かび病等への特段の強耐性は記載なし(不明)。土壌pH4.3〜5.3前後の酸性管理が必要。
推奨栽培地
- 関東内陸(群馬県・栃木県・茨城県・埼玉県北部)、長野県、東北南部の冷涼地。
- 群馬県内では特に利根沼田(沼田市・みなかみ町・川場村等)を中心に作付け拡大。
- 暑さにもある程度耐えるため、本州中部以北の露地栽培で適応域が広い。
受粉相性
- ノーザンハイブッシュは一般に他家受粉で結実・果実品質が向上するため、3品種を組み合わせ植栽することが推奨される(開花期がほぼ同調)。
- あまつぶ星は自家結実率が比較的高い(約84.6%との苗木業者報告あり)が、他品種混植で結実安定・果実肥大が向上。
- はやばや星は農林水産省登録情報および群馬県農業技術センター研究報告で「自家和合性は低く、他のハイブッシュ品種との混植が必要」と明記。
- 推奨受粉樹:おおつぶ星 × あまつぶ星 × はやばや星 の3者混植、またはレイトブルー、デューク、スパルタン等の早〜中生ノーザンハイブッシュ。
商業利用状況
- 群馬県のオリジナル品種として「○○星シリーズ」のブランド化が進められ、JA利根沼田・JAグループ群馬で生産・出荷。
- 沼田市・川場村・みなかみ町を中心に観光ブルーベリー園で導入され、7月の摘み取り体験用主力品種として利用。
- カネコ種苗(群馬県前橋市)・花ひろばオンライン・園芸ネット等を通じて家庭園芸用苗木が全国流通。
- 育成者権はおおつぶ星(2016年10月30日満了)、あまつぶ星(2024年4月16日満了)、はやばや星(2024年3月5日満了)でいずれも保護期間が経過し、現在は自由に増殖・販売が可能。
関連兄弟品種(あまつぶ星・はやばや星)
群馬県農業技術センター育成「○○星」3兄弟は、いずれも Collins × Coville 自然交雑実生からの選抜で、収穫期をリレーする組み合わせとして開発された:
- はやばや星 — 登録番号11722/2004年登録/極早生(7月上旬)/約1.4〜1.6g/酸味やや強、濃厚
- おおつぶ星 — 登録番号6926/1998年登録/中生(7月中〜下旬)/約2.0g/酸味強め、コク・日持ち良
- あまつぶ星 — 登録番号7176/1999年登録/中晩生(7月下〜8月上旬)/約1.9g/甘味強、デザート系
3者を混植することで、開花期同調による相互受粉で結実が安定し、約1か月の連続収穫が可能となる。
育成者注釈・特記事項
- 育成は群馬県園芸試験場(沼田市)で開始され、機構改編後は群馬県農業技術センターが品種登録・普及を担当。育成者は中條忠久・堀込充の両氏(はやばや星論文の著者は堀込充・岡田智行・畠山雅直)。
- 「おおつぶ星」「あまつぶ星」は1997年〜1999年期に登録された日本オリジナルのハイブッシュ大粒品種として、国産ブルーベリー育種の先駆例。
- 大粒果安定生産には、20cm未満の弱い結果枝を切除する剪定法(農研機構 関東東海北陸農業研究成果情報、平成21年度)が有効と公表されている。
- ユーザー提示の「育成年1996年品種登録」「親=Bluecrop×Berkeley」は資料で確認できず、正しくは「1998年(おおつぶ星)登録、親=Collins と Coville の自然交雑実生」である。
参考情報源
- 農林水産省 品種登録ホームページ「おおつぶ星」登録番号6926
- 農林水産省 品種登録ホームページ「あまつぶ星」登録番号7176
- 農林水産省 品種登録ホームページ「はやばや星」登録番号11722
- アグリサーチャー(農研機構)「大粒のブルーベリー新品種『おおつぶ星』『あまつぶ星』」
- アグリサーチャー(農研機構)「早生で大粒のブルーベリー新品種『はやばや星』」
- 農研機構 関東東海北陸農業研究成果情報「ブルーベリー『おおつぶ星』と『あまつぶ星』の大粒果を安定生産できるせん定法」
- 農研機構 関東東海北陸農業研究成果情報「早生で大粒のブルーベリー新品種『はやばや星』」
- JAグループ群馬「群馬の農畜産物・ブルーベリー」
- 沼田市「沼田そだち・ブルーベリーずかん」
- 花ひろばオンライン 苗木部「おおつぶ星」
- 花ひろばオンライン 苗木部「あまつぶ星」
- 苗木部「はやばや星」
- ツクベリーやさと「あまつぶ星について」