ブルージェイ Bluejay
ノーザンハイブッシュ系
系譜・来歴
- 交配組み合わせ: 'Berkeley' × 'Michigan 241'
- 'Michigan 241' の親: 'Pioneer' × 'Taylor'
- 親系譜全体: ('Berkeley') × ('Pioneer' × 'Taylor')
- 1978年にミシガン州立大学/ミシガン州農業試験場(Michigan Agricultural Experiment Station)からリリースされたノーザンハイブッシュ品種で、機械収穫に適した中期成熟品種を目的に育成された。
樹体特性
- 樹高: 約 1.5〜2.1 m(5〜7 ft)。資料によっては 4〜6 ft(1.2〜1.8 m)の表記もあり。
- 樹形: 直立性(upright)でやや開帳する程度。コンパクトでまとまりやすい。
- 樹勢: 強〜非常に強い(vigorous〜extremely vigorous)。安定した生産性を示す。
- 紅葉: 秋には黄〜橙色の紅葉が美しく、観賞価値もあり。
- 生育適応性: 健全で安定した樹体を形成し、結実開始は植え付け後 2〜5 年。生産的寿命は 20〜30 年程度とされる。
結実特性
- 開花期: 中期(mid-season)。米国中北部・ミシガン州南部基準で 5 月。
- 収穫期: 早〜中期。ミシガン州サウスヘイヴン(South Haven, MI)地区で約 7 月 10 日前後。日本国内のノーザンハイブッシュ品種一覧では 6 月中旬〜下旬と表記されている資料もある。
- 低温要求量(チルアワー): 約 1,000 時間(7.2℃以下)。
- 結実年数: 植え付け後 2〜3 年で結実開始、3〜5 年でまとまった収量、20〜30 年以上の生産性を維持。
- 果実成熟性: 集中熟(concentrated ripening)。1 回目の機械収穫で全果実の約 70% を収穫可能、2 回目で残りを完了できる。
果実特性
- 粒径: 中〜中大粒(medium 〜 medium-large)。1 カップあたり約 75〜76 粒。
- 果色: ライトブルー(light blue、明るい青色)。
- 果形: 球形(spherical)。
- 果皮: しっかりしている(firm)が、口当たりは良い。皮は中庸。
- 食味: マイルドで穏やかな甘み、わずかな酸味、糖度は高め(high sugar content)。日本側資料では「やや酸味あり」と表記されることもある。
- 果梗・果梗痕(picking scar): 果柄が長く、果梗痕は小さくて乾く(small, dry scar)。手摘み・機械収穫いずれにも有利。
- 果実の付き方: 房(クラスター)はゆるく(loose cluster)、ベリー間距離が広い。果実が樹冠の外側に位置するため視認性・収穫性が高い。
- 機械収穫適性: 非常に高い。ベリー同士の間隔が広く、果柄が長く、樹形が直立であることから機械収穫機との相性が良く、傷つき・果汁漏れが少ない。
- 用途: 生食・冷凍・缶詰・ジャム・製菓・加工用すべてに対応。鮮度保持力に優れ、樹上で長期間品質を保持できると評される。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性: USDA ゾーン 4〜7(資料により 4〜8 まで対応)。−15°F(約 −26℃)程度までの耐寒性。MSU 調査では生産者評価で耐寒性スコア 2.83(中庸〜やや劣る)とされ、極寒地より中北部寒冷地が向く。
- ミイラ病(Mummy berry): 葉相・花相いずれも抵抗性あり(resistant)
- 茎枯病・ステムブライト(Stem blight): 抵抗性あり、北部生産者にとっての主要病害に対する自然防御力が高い
- 炭そ病(Anthracnose): 中程度感受性(moderately susceptible)
- フォモプシス枝枯病(Phomopsis stem canker): 感受性(susceptible)
- ステムゴール蜂(Stem gall wasp): 感受性(susceptible)
推奨栽培地
- 米国: ミシガン州を中心とした中北部・北東部のノーザンハイブッシュ栽培地帯。USDA ゾーン 4〜7。
- 日本での栽培適地: ノーザンハイブッシュ系として、低温要求量(約 1,000 時間)を満たす地域。リンゴ・モモ栽培地帯と概ね一致し、北海道中部〜東北、関東甲信越、北陸、中国山地、九州の高冷地が中心。暖地(西南暖地平野部)では低温要求量を満たさず生育不良の恐れがある。
受粉相性
- 自家結実性: 部分的自家結実性あり(partially self-fertile / self-pollinating の表記もあり)。単独でも結実するが、収量・果実サイズの安定性は低下する。
- 推奨受粉樹: 同じ中期成熟のノーザンハイブッシュ品種、特に 'Bluecrop'(ブルークロップ)、'Blueray'(ブルーレイ)等との混植が推奨される。異品種混植により収量と果実の均一性が向上する。
商業利用状況
- 市場区分: 生食用および加工用(fresh / processing 両用)。MSU 調査では用途分類「Fresh/Processing」。
- 収量: 成木 1 株あたり約 10〜20 lb(4.5〜9 kg)、好条件下では 15〜20 lb。MSU 生産者評価では収量スコア 3.17(平均よりやや高い収量寄り)。
- 採用率: ミシガン州調査対象生産者の 36.4% が栽培しており、ノーザンハイブッシュ商業生産者の中で広く採用されている定番品種。
- 機械収穫: 直立樹形・ゆるい果房・長い果柄・小さく乾いた果梗痕のすべてが機械収穫に適しており、機械収穫前提の商業園で重宝されている。生食市場用の機械収穫対応品種として 'Blueray' より硬度が高く優位とされる。
日本での状況
- 日本国内のノーザンハイブッシュ品種一覧(山陽園芸研究所、Fruit Plants Variation 一覧表 など)に掲載されており、ノーザンハイブッシュ系の品種として認知されている。
- 国内表記: 「ブルージェイ」。樹勢: 強、収量: 中、果実: 中粒、風味: やや酸味あり、熟期: 6 月中旬〜下旬と整理されている。
- 苗木流通: 花ひろばオンライン等の主要ブルーベリー苗木専門店ではノーザンハイブッシュ系のラインアップ内に位置付けられているが、'Bluecrop' や 'Blueray' 等のメジャー品種に比べると流通量は限定的とみられる(一般園芸店での常備在庫としては不明)。
- 商業栽培: 日本国内での大規模商業栽培事例の確実な情報は確認できず(不明)。観光農園・自家園での栽培例が中心と推測される。
育成者注釈・特記事項
- 1978 年リリース時点では、ミシガン州立大学のブルーベリー育種は James Moulton、Stanley Johnston ら、後の James F. Hancock 教授に至る系譜の中で行われた(具体的個人選抜者名は本調査範囲では特定不能 = 不明)。
- 'Bluejay' 以降、ミシガン州立大学からは 'Aurora'、'Draper'、'Liberty'、'Huron'、'Calypso'、'Osorno' 等のノーザンハイブッシュ品種が J. F. Hancock により育成・リリースされている。'Bluejay' はそれら新世代品種に先行する、機械収穫対応の古典的・基幹品種として位置付けられる。
- 主な実用上の長所: 機械収穫適性(直立樹形・ゆるい房・長果柄・小さい果梗痕)/ミイラ病・ステムブライトに対する高い抵抗性/集中熟性により収穫労力の削減が可能/樹上で果実の品質保持期間が長い
- 主な留意点: フォモプシス枝枯病に対しては感受性/食味は「マイルド」で、極端に強い甘みや個性を期待する向きには物足りない可能性/受粉樹混植により本来のポテンシャルが発揮される
参考情報源
- Michigan State University, Blueberry Varieties for Michigan
- MSU AgBioResearch — Building a better blueberry (Hancock breeding program)
- MSU AgBioResearch — Blueberry bonus: MSU scientist's varieties reach new heights
- Fedco Seeds — Bluejay Highbush Blueberry(親系譜記載)
- Hartmann's Plant Company — Blue Jay(生産・収穫特性)
- Oregon Blueberry — Bluejay(栽培・果実特性)
- One Green World — Bluejay Northern Highbush Blueberry
- Raintree Nursery — Bluejay Blueberry
- Stark Bro's — Bluejay Blueberry Plant
- Penn State Extension — Blueberry Variety Selection
- 一般社団法人 日本ブルーベリー協会 — ハイブッシュブルーベリーについて
- 山陽園芸研究所 — ノーザン(北部)ハイブッシュブルーベリー品種一覧
- Fruit Plants Variation — ブルーベリー品種特徴一覧
- 花ひろばオンライン — ノーザン・ハイブッシュ系