カタウバ Catawba
ノーザンハイブッシュ系
調査メモ
【重要:依頼内容の前提に関する注記】
依頼書では「系統=NHB(NCSU)/育成者=Ballington/機関=NCSU」と提示されているが、HTML 一次資料の調査結果では、'Catawba' という名のブルーベリー品種は NCSU(ノースカロライナ州立大学)の Jim Ballington による育成品種ではなく、1932 年に USDA の F. V. Coville が命名した、史上最初期に名付けられた albescent(赤頬・ピンク果実)型の北部系ハイブッシュ実生であることが、複数の独立した HTML 出典から確認された。NCSU の育種品種一覧(NHB/SHB/rabbiteye/pentaploid/観賞用)の中に 'Catawba' は記載されておらず、Ballington による released cultivar リストにも該当しない。本ファイルは一次資料(USDA / Coville 関連記事)に基づき、史実の 'Catawba'(USDA, 1932, Coville)として記述する。NCSU 由来の同名系統が存在する場合は別途検証が必要(不明)。
系譜・来歴
- 'Catawba' は、Coville が同年 1932 年に命名したもう一つの albescent 系統 'Redskin' と 同じ祖父母・同じ親を持つ姉妹実生であると、当時の USDA 記録(1937 年 New York State Horticultural Society 関連の小果樹解説『Improving the Wild Blueberry』ほか)に明記されている。
- 'Redskin' の元株は 1913 年になされた交配の実生に由来するとされ、その親系譜は Coville の創設期育種素材である野生選抜由来の 'Brooks'(野生ハイブッシュ V. corymbosum、ニューハンプシャー州 Greenfield 牧草地由来)× 'Russell'(同地域の野生ローブッシュ)系統を遡る。'Catawba' はその第二世代以降の albescent 分離個体と理解されている(厳密な世代・直接の両親株名は HTML 一次資料では特定できず/不明)。
- 命名の由来は、果皮の赤味が 「カトーバ・グレープ(Catawba grape, Vitis labrusca 系の薄紫赤色品種)の色」を思わせる ことから。Coville は本系統を「red-cheeked albino(赤い頬を持つアルビノ)」と表現した。
- 出典:
樹体特性
- 樹高: 約 4 フィート(約 1.2 m)程度と、姉妹系統 'Redskin'(約 2 フィート)より明確に大きく育つ中型のブッシュ。
- 樹形: ハイブッシュ系として通常の直立〜やや開帳型と推定される(HTML 一次資料に詳細な開帳・骨格記述は乏しい/不明)。
- 葉: 微鋸歯のある(finely toothed)葉縁を持つ点が、'Redskin' とともに当時の記載で共通形質として挙げられる。
- 樹勢: 当時の記載では商業的評価ではなく観賞・標本的位置付けで、樹勢に関する数値的評価は確認できない/不明。
- 出典: "Improving the Wild Blueberry"(chathamapples.com)
結実特性
- 開花期: HTML 一次資料での具体記載なし/不明。Coville 系初期 NHB 系統の一般的傾向(米国東部で 4〜5 月)に近いと推定される。
- 収穫期: 'Redskin' は「シーズン早期に成熟」とされる一方、'Catawba' については個別の収穫時期明記は確認できず/不明(同一親の分離個体として 'Redskin' に近い早〜中生と推定される程度)。
- 低温要求量(チリングアワー): HTML 一次資料に明示なし/不明(NHB × lowbush の血統から 800〜1,200 時間程度と推定される程度に留まる)。
- 収量: 商業生産を意図した品種ではなく、収量に関する公式な数値記載なし/不明。
- 出典: "Improving the Wild Blueberry"(chathamapples.com)
果実特性
- 果皮色: 通常のブルーベリーに見られる アントシアニン由来の青色色素を欠く albescent 型。地色は淡いクリーム〜ピンクで、日光を受ける側に 薄い赤味(「赤い頬」)が乗る。Coville 自身が「カトーバ・グレープの色を思わせる、より淡い赤」と表現。
- 果粉(ブルーム): 'Redskin' より 果粉(ブルーム)が多く(more bloom)、全体に粉を吹いた淡色外観となる。
- 果実サイズ: 'Redskin' よりやや小さい("smaller than Redskin")。'Redskin' の最大果径が約 16 mm 超とされるため、'Catawba' はそれ未満の中粒以下と推定。
- 果肉色: 一般のブルーベリーと異なり淡色。
- 食味: 'Redskin' は "good flavor" とされるが、'Catawba' についての食味の独立した記載は確認できず/不明。
- 市場性: アントシアニンを欠くため青く着色せず、また打撲傷で変色しやすいことから 商業流通には不向きと当時から評価されていた。
- 出典: "Improving the Wild Blueberry" / USDA AgResearch Magazine
耐寒性・耐病性
- 耐寒性: NHB × lowbush(V. angustifolium)の血を含む Coville 系初期実生として、北部州(ニュージャージー〜ニューイングランド〜五大湖周辺)における通常の NHB と同等以上の耐寒性を備えると推定される(USDA ゾーン 4〜7 程度)。HTML 一次資料に具体的な耐寒下限温度の記載なし/不明。
- 耐病性: 個別の病害抵抗性に関する公式な評価は確認できず/不明(商業育種対象ではなかったため病害抵抗性の体系的評価が行われなかった)。
- 出典: USDA Plants Database "Highbush Blueberry" Plant Guide(※依頼により PDF 取得は行わず、HTML ページ上の記載のみ参照)
推奨栽培地
- 商業推奨は当初から行われていない。Coville の記述上は 「ホームガーデンの好奇心向け(horticultural curiosity, garden collection)」 に位置付けられた。
- 適地は北米北部州〜中部州の典型的 NHB 適地(USDA ゾーン 4〜7 程度)と推定。
- 出典: USDA AgResearch Magazine
受粉相性
- HTML 一次資料に個別記載なし/不明。NHB 系一般則として異品種混植が望ましいと推定される。
商業利用状況
- 商業栽培実績はほぼ皆無。'Redskin' とともに 「商業生産に乗らず、観賞・標本としての小規模な栽培からも事実上失われた」 とされ、20 世紀後半までに流通から消失。
- 21 世紀に入ってからの ピンク/白果系ブルーベリー再興('Pink Lemonade'(USDA, 2005, ARS 公表)、'Pink Champagne'(同年)など) の歴史的前駆体・原型として、ブルーベリー育種史上で言及されることが多い。
- 'Pink Lemonade' は USDA の Mark Ehlenfeldt らによる新しい albescent 系統で、'Catawba' とは直接的な近縁関係は記録されていないが、「Coville が 1932 年に命名した 'Catawba' と 'Redskin' から約 70 年を経て再興された albescent 育種ライン」 という文脈で位置付けられる。
- 出典:
日本での状況
- 日本国内の主要ブルーベリー苗木専門店(花ひろば/グリーンでGO!/日本花卉ガーデンセンター/ブルーベリーカントリー 等)の HTML 上で、品種 'Catawba'(カタウバ/カトーバ) の商品ページや在庫情報は確認できなかった。
- 国内市場で「ピンクレモネード(Pink Lemonade)」「ピンクシャンパン(Pink Champagne)」等のピンク果系ブルーベリーは流通しているが、その先行種としての 'Catawba' の流通は 事実上なしと判断される。
- 学術文献・園芸史の文脈で「USDA Coville が 1932 年に命名した最初期の albescent 系統」として紹介されるに留まる/日本語一次商業流通情報は不明。
育成者注釈・特記事項
- 'Catawba' はブルーベリー育種史上、1932 年にF. V. Coville によって命名された 2 つの albescent(白色化+赤頬)型品種のうちの 1 つであり、もう 1 つは 'Redskin'。両者は 同じ祖父母・同じ親を持つ姉妹個体である。
- 命名は果実の色合いが Vitis labrusca 系の 「Catawba(カトーバ)グレープ」の薄い赤紫色を想起させたことに由来し、Coville は本品種を horticultural curiosity(園芸的好奇の対象) と明確に位置付けていた。
- 商業流通には乗らず 20 世紀末までに事実上失われた品種であるが、現代の ピンク/白色果系ブルーベリー育種('Pink Lemonade' 2005、'Pink Champagne' 同年、ARS 96-138・G-435 等の選抜系統)の 歴史的原型として、育種史で繰り返し参照される重要な「ロスト・カルチバー」である。
- なお、本依頼書で示された「NHB(NCSU)/Ballington/NCSU」という属性は、HTML 一次資料の範囲では確認できず(NCSU の品種一覧、Ballington のリリース実績一覧に 'Catawba' は記載なし)、史実上の 'Catawba' は USDA / Coville / 1932 年命名の albescent 系統である点を改めて明記する。NCSU が 'Catawba' という名で別系統を将来的にリリースした可能性については、HTML 上で確認できず/不明。
参考情報源
- USDA AgResearch Magazine "Blueberry Growing Comes to the National Agricultural Library"
- USDA AgResearch Magazine "Pink Lemonade blueberries"
- "Improving the Wild Blueberry"(New York State Horticultural Society 関連、1937 年記事の HTML 再録)
- Greg Alder, "Pink Lemonade blueberry bush: a profile"('Catawba' / 'Redskin' を red-cheeked albino として明記)
- Frederick Vernon Coville Records on Blueberries(USDA National Agricultural Library アーカイブ案内、HTML)
- Historic Collection at NAL Gives Insight into Blueberry's Domestication(USDA ARS ニュース)
- NCSU Blueberry Genetics & Genomics Laboratory — NCSU Blueberry Varieties(NCSU 品種一覧/'Catawba' 不在の確認)
- NCSU Blueberry Breeding Program History(NCSU 育種史/'Catawba' 不在の確認)