コリンズ Collins
ノーザンハイブッシュ系
系譜・来歴
- 交配親: Stanley × Weymouth
- 父母系統はいずれも USDA-NJ ブルーベリー育種プログラム由来の歴史的品種。Stanley(1930年代育成、Katharine × Rubel 由来とされる)は香気・食味の良さで知られ、Weymouth は極早生の在来選抜系統。
- 育成チーム: USDA-ARS の George M. Darrow(USDA ブルーベリー育種計画を主導)を中心に、ニュージャージー州 Beltsville/NJ 共同体制で1950年代に選抜・公表。
- 品種名の由来: 米国の園芸家・果樹育成家として USDA ブルーベリー育種に貢献した Lester Collins(1880–1957、USDA-NJ で長年フィールド育成に従事した愛好家育成家)を顕彰したものと記される(一次資料の確認が部分的なため、詳細は不明な点が残る)。
- 1960年に USDA が公表した推奨ノーザンハイブッシュ7品種("Big Seven")の1つとして位置付けられた歴史的品種である。
- 倍数性: 4倍体(テトラプロイド)、Vaccinium corymbosum に分類される典型的なノーザンハイブッシュ。
樹体・果実特性
樹体
- 樹勢: 強健で生育旺盛("vigorous")。
- 樹形: 直立性〜やや半開張性("semi-upright" / "upright, multiple-branched")。樹高はおおむね 1.5〜1.8 m 程度(成木で約 6 ft = 約1.8 m と記載される事例あり)。整った樹姿で観賞価値も持つ。
- 耐寒性: USDA Zone 4a 程度まで適応とされるが、ノーザンハイブッシュの中では「やや弱め」と評する日本の資料もある。
- 耐裂果性: 雨後の裂果(cracking)がやや多い傾向があり、温暖地では接ぎ木栽培が推奨される事例がある。
結実
- 開花期: 5月上旬〜中旬(日本基準)。
- 収穫期: 早〜中生("early- to mid-season")。米国ニュージャージーでは6月上旬〜中旬、日本(関東〜中部の平地)では概ね6月中旬〜7月上旬。
- 収量: 高く安定("productive")。
- 自家結実性: 弱め。同系統の他品種を受粉樹として混植することが推奨される。
果実特性
- 粒径: 大粒(直径 16〜18 mm 程度、light blue / 明るい青色の果皮、"large, light blue fruit" と評価される)。
- 食味: 甘味豊か、酸味とのバランスが良く、芳香が強い("good aroma" / "excellent flavor" / "firm, good aroma, good dessert quality")。糖度は概ね 11.4〜14.8°Brix(日本の苗木店資料)。
- 果皮: 比較的硬く、果柄痕(picking scar)も良好。
- 用途: 生食・デザート品質に優れ、加工(ジャム・ケーキ等)にも適する。
群馬3兄弟(おおつぶ星等)の親としての歴史的意義
群馬県(群馬県農業技術センター等の県研究機関)が育成した日本オリジナルのノーザンハイブッシュ系3品種、いわゆる「群馬3兄弟」(おおつぶ星・あまつぶ星・はやばや星)は、いずれもこの Collins を親系統に持ち、Collins と Coville の自然交雑実生に由来する。
- おおつぶ星(1998年、日本初の国産ブルーベリー品種登録): Collins × Coville の自然交雑実生から選抜。約2.0 g の極大粒、酸味と濃厚な果汁。7月中〜下旬収穫
- あまつぶ星(1999年): Collins × Coville(自然交雑実生から選抜)。約1.9 g、強い甘味。7月中旬〜8月上旬収穫
- はやばや星(2004年): Collins または Coville の自然交雑実生から選抜。早生、関東平坦地で7月上旬がピーク
- これら3品種はいずれも 群馬県農業技術センター(旧・群馬県園芸試験場) で育成され、1990年代の Collins 母樹に自然受粉した果実から得られた実生集団から選抜されたとされる。
- すなわち Collins は 日本初の国産ブルーベリー登録品種「おおつぶ星」(1998年)の母樹であり、日本ブルーベリー育種史の出発点に位置する極めて重要な歴史的品種である。
- 群馬3兄弟は今日、群馬県のブルーベリー生産(収穫量で全国2位、栽培面積で全国4位、2020年)の中核となっており、Collins の遺伝的寄与は日本のブルーベリー産業に直接的な影響を持つ。
現代品種への遺伝的寄与
- 直接的な後代品種: 上記の おおつぶ星・あまつぶ星・はやばや星(日本/群馬県育成)が代表的な後代である。
- 米国育種上の位置付け: 1960年代以降、Collins は USDA-NJ/米国各州試験場の育種素材として広く用いられ、大粒・芳香性・食味の良さを後代に伝える「フレーバー親」として評価された。ただし現代の主要商業品種(Bluecrop, Duke, Draper 等)の主要直接親としての記録は限定的で、世代を経た背景遺伝子としての寄与が中心と考えられる(系譜の網羅的な情報は不明な部分が残る)。
- 歴史的位置付け: USDA "Big Seven"(1960年)の1品種として、ノーザンハイブッシュ初期商業化期の食味基準を底上げした品種であり、日本へのノーザンハイブッシュ導入初期の主力品種でもあった。
日本での状況・流通
- 導入時期: 戦後〜1970年代の日本へのハイブッシュ系導入初期に取り入れられた古参品種の1つ。
- 苗木流通: 現在も苗木部(花ひろばオンライン)、苗木部 by ナエギブ、園芸ネットなどのオンライン苗木店で「コリンズ」名で流通しており、家庭園芸向け品種として継続入手可能。
- 栽培面: 樹勢が強く、関東〜東北の冷涼地で栽培容易。一方、温暖地では裂果がやや出やすいため接ぎ木苗が推奨される場合がある。受粉樹としては Bluecrop、Earliblue 等の同期開花ノーザンハイブッシュが適する。
- 生産規模: 商業大規模生産は「群馬3兄弟」など Collins 後代品種に置き換わっているケースが多く、Collins 自体の業務生産は限定的だが、家庭果樹・観光農園・育種素材としての価値が継続。
- 歴史的意義の認知: 日本のブルーベリー史・育種史の文脈では「日本初の国産品種・おおつぶ星の母」として、群馬県の県産品PRや農業情報サイトでもその系譜が紹介されている。
参考情報源
- Collins Blueberry Variety – eXtension(米国大学共同普及サイト)
- Rutgers NJAES FS419: Selecting Blueberry Varieties for the Home Garden
- Weston Nurseries — Collins Blueberry
- Ashwood Nurseries — Blueberry 'Collins'
- Backyard Gardener — Vaccinium corymbosum 'Collins' Highbush Blueberry
- 苗木部(花ひろばオンライン)「コリンズ」品種ページ
- ナエギブ「コリンズ」品種ページ
- ナエギブ「はやばや星」品種ページ
- ツクベリーやさと「あまつぶ星について」
- ぐんまアグリネット「ぐんまのブルーベリー」
- JAグループ群馬「群馬の農畜産物 / ブルーベリー」
- 沼田そだち「ブルーベリー」(群馬3兄弟の収穫期・果実特性)
- USDA AgResearch Magazine(USDA-NJ ブルーベリー育種史)