オザークブルー Ozarkblue
サザンハイブッシュ系
系譜・来歴
- 交配年:1976年、USDA Beltsville研究所(メリーランド州)にて Arlen Draper らがハンドクロスを実施。
- 交配組合せ:
- 種子親(♀): USDA Selection G-144(非特許、種間雑種選抜系統)
- 花粉親(♂): Florida Selection 4-76(非特許、フロリダ大学系統)
- 種子はアーカンソー大学(Fayetteville, AR)に送られ、James N. Moore と John R. Clark によって選抜・評価。多年次の試験を経て 1996年に正式リリース、同年に米国植物特許 USPP10,035 を取得。
- アーカンソー大学育種プログラム(1976年開始、Moore・Clark主導)から派生した代表的サザンハイブッシュ品種の一つ。
樹体特性
- 樹勢: 強い(vigorous)。良好なシュート・ケイン発生力をもつ多幹性灌木。
- 樹形: 直立性〜半直立性、開張はやや控えめ。
- 樹高: 一般的に約2〜4 ft(約0.6〜1.2 m、栽培条件により変動/一般園芸資料)。商業圃場では剪定により1.5〜2 m級に管理。
- 株間: 3〜4 ft(約0.9〜1.2 m)の植栽が推奨される(園芸事業者資料)。
結実特性
- 開花期: 中〜晩生開花(central Arkansasで4月中旬〜下旬目安/一次資料に明確記載なく一般情報)。
- 収穫期(成熟期): 中〜晩生。
- 中央アーカンソーでの平均成熟日:6月14日(USPP10,035記載)。
- 'Bluecrop' より約 9日遅い 成熟。
- 成熟期間は5〜6週間と長く、'Bluecrop' より7〜14日長く収穫が継続する。
- 低温要求量(チルアワー): 約 800〜1,000時間(園芸事業者資料)。SHBの中では比較的高めで、上部南部(Upper South)〜温帯移行域に適応。
- 収量: 高く、年次変動が小さい('Bluecrop' および多くのハイブッシュ品種を上回る)。
果実特性
- 果実重: 大粒。早期 2.1 g、中期 1.8 g、後期 1.3 g(USPP10,035記載)。一般的に1.8〜2.4 g/果との二次資料あり。
- 果形: 球形(globose)、揃いが良い。
- 果皮色: 明るいライトブルー、白色のブルームを伴う。
- 果実硬度: 高い(収穫・輸送適性が良好)。
- 果梗痕(pedicel scar): 小さく乾く(1.46 mm、'Bluecrop' より優れる)。
- 風味: 甘みがあり穏やかな酸味(sweet and mildly subacid)、ブルーベリーらしい良好な香気。
- 可溶性固形分(Brix目安): 約11.5%(USPP10,035記載)。
- 種子: 小さく軟らかい(平均74粒/果)。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性: 約 −23℃(−10°F)まで耐寒(USPP10,035記載、'Bluecrop' に類似)。SHBとしては比較的高い耐寒性で、上部南部〜中部アメリカでの越冬性を確保。
- 耐暑性: 高い。アーカンソー州の高温多湿条件で選抜されており、暖地適応性に優れる。
- 耐病性:
- うどんこ病(Powdery mildew): 抵抗性(resistant)。
- 茎枯病(Stem blight): わずかに感受性(slightly susceptible)。
- その他病害については一次資料に詳細記載なし。
推奨栽培地
- 米国南部〜上部南部(Arkansas州、Oklahoma州東部、北Mississippi、北Alabama、北Georgia、Tennessee、North Carolina州中部 など)。
- USDA Hardiness Zone 5〜9(園芸事業者資料)。
- チルアワーが800時間以上確保できる地域で安定した着果が得られるため、フロリダ州中南部などSHBの典型的栽培地よりは北寄り(移行帯)に最適化。
- 日本では、関東以南の温暖地〜中間地で栽培可能と推察される(公的試験データは確認できず)。
受粉相性
- 自家受粉: 可能(self-fertile)。
- 他家受粉: 'O''Neal' などSHBや、開花期の重なるノーザンハイブッシュとの混植で 着果数・果実サイズが向上 すると複数の園芸資料が指摘。
- 同じSHB系の中〜晩生開花品種との混植が推奨される。
商業利用状況
- 米国では特許失効済み(USPP10,035の特許権は満了)。一部の認可ナーセリーで現在も増殖・販売が継続。
- アーカンソー、ジョージア、ノースカロライナ等の中規模商業圃場で生鮮市場向けに栽培実績あり。
- 大粒・硬果・良食味・小さな果梗痕により 生鮮輸送適性が高い 品種として評価。
- 後発のFall Creek社系品種('Last Call'等)の親本としても利用された。
日本での状況
- 日本国内ではアルビック種苗、吉野果樹園、磯野ブルーベリー園、Ozeki Nursery、Berry's Life など複数の専門ナーセリーで「オザークブルー」として苗木が流通している(個人〜小規模生産者向け)。
- 国内では 米国植物特許品種 として扱われ、商業増殖時には契約が必要との記述が業者サイトにみられる。
- 国内栽培者の評価:「果実は大粒で食味良好(甘味と酸味のバランスが良い)」「やや栽培難度が高い」「7月下旬〜8月上旬収穫」との所見が紹介されている(園芸ブログ・個人園情報)。
- 日本の公的試験研究機関による適応性試験データは、本調査範囲では確認できなかった(不明)。
育成者注釈・特記事項('Last Call' 父本としての貢献)
- 'Last Call'(USPP25,386 P3、Fall Creek Farm and Nursery, Inc. 開発、David M. Brazelton・Adam L. Wagner 発明)の 花粉親(pollen parent) として 'Ozarkblue' が用いられた。
- 種子親は 'Elliott'(ノーザンハイブッシュ晩生品種)。
- 2002年に交配、2006年夏に実生集団から選抜。
- Ozarkblue から 'Last Call' に伝わったと推察される形質:
- 晩生性(Ozarkblueの中〜晩生+Elliottの晩生の組合せで、Last Callはさらに約2週間遅い晩生となる)。
- 大粒性(Last Callは平均約2.15 g)。
- 明るいライトブルーの果皮色とブルーム。
- 甘味の強さ(Last CallはブラインドテストでElliott・Auroraより甘味で優位)。
- 強樹勢・直立性。
- 一方で、'Last Call' は Ozarkblue より硬度がさらに高く、果形は扁球形(oblate)で萼端のくぼみが広い、という違いも報告されている。
- 'Ozarkblue' は University of Arkansas プログラム由来の系統が 民間(Fall Creek社)の最新品種 に活かされた橋渡し品種としての歴史的意義を持つ。
参考情報源
- USPP10,035 P "Blueberry--'Ozarkblue'"(Google Patents)
- Moore, J.N. & Clark, J.R. (1996) "'Ozarkblue' Southern Highbush Blueberry." HortScience 31(6): 1043.(ASHS Journals)
- ScholarWorks at University of Arkansas, "Blueberry--'Ozarkblue'" by James N. Moore and John R. Clark
- University of Arkansas Cooperative Extension Service, "Blueberry Production in Arkansas"
- eXtension / blueberries.extension.org "Ozarkblue Blueberry Variety"
- Italian Berry, "Arkansas, the history of the University of Ozarkblue and 500 other blueberry varieties"
- Minneopa/Minnetonka Orchards, "The Ozarkblue Blueberry"
- USPP25,386 P3 "Blueberry plant named 'Last Call'"(Google Patents)
- アルビック種苗 オザークブルー
- 吉野果樹園 オザークブルー
- 磯野ブルーベリー園 オザークブルー
- さわやかブルーベリーファーム市原 「オザークブルー」紹介記事