デューク Duke
ノーザンハイブッシュ系
系譜・来歴
- 主要な交配親系譜: (Ivanhoe × Earliblue) × 192-8。すなわち G-100(Ivanhoe × Earliblue 由来選抜系統)と 192-8(E-30 × E-11 由来。Stanley などの高収量形質を含む)の交配により得られた選抜系統。
- 育成者: Arlen Draper(USDA, Beltsville)を中心とする USDA/NJAES 共同チーム。1960年代半ばに交配が行われ、試験を経て1987年に発表。
- 品種名の由来: ニュージャージー州 Mainland の Atlantic Blueberry Company を経営し、USDA の試験圃場として品種評価に多大な貢献をした S. Arthur "Duke" Galletta 氏に因んで命名。
- 倍数性: 4倍体(テトラプロイド)。遺伝構成は概ね V. corymbosum 96% に V. angustifolium 約4%が含まれる。
- 受賞歴: 英国王立園芸協会(RHS)の Award of Garden Merit を受賞。
樹体特性
- 樹勢: 強い。生育旺盛で、若木期から伸長が早く、成木後も衰えにくい健強性が評価される。
- 樹形: 直立性〜やや半開張性("Stocky, Upright" / "Semi-spreading" と記述される)。樹形がまとまりやすく、剪定・機械収穫に適する。樹高はノーザンハイブッシュ品種の中でも比較的高くなる。
- 樹姿の評価: 整然とした美しい樹形が観賞価値も持つと評される。
結実特性
- 開花期: 早生品種の中では中庸〜やや早い時期に開花。親 Ivanhoe・Earliblue とも開花期が近い系統に属する(具体的日数の出典は不明)。
- 収穫期: 早生(Very Early)。USDA・各種商業ナーセリーは "the leading early ripening Northern Highbush variety" と評価。日本では地域差はあるが概ね 6月上旬〜7月上旬。東北・北海道では7月上旬〜中旬がピーク。
- 低温要求量(chill hours): 約 800〜1,000時間(7.2℃以下)と高め。一般に "high chill" 品種に分類される。
- 収量: 高収量で安定。花芽の付き方が均一で年次変動が少なく、商業生産者から「再現性の高い豊産性品種」として評価される。
果実特性
- 果実サイズ: 中〜大粒。粒揃いが極めて良く、サイズの均一性が高い。
- 果皮色: 明るい青色〜ライトブルー("Light Blue")。果粉(ブルーム)の発生は良好。
- 糖度・酸度: 公式の Brix 数値は出典により幅があり一概に示せない(出典により「甘味と酸味のバランス型」「サッパリ系」「マイルド」と評価が分かれる)。収穫初期はキレのある酸味があり、完熟・貯蔵後に風味がマイルドに整うとされる。国内の生食農園評価では、甘味・酸味とも中庸〜やや強めとする例もある。
- 食味: マイルドで爽やか。突出した特徴は薄いが、嫌味のない万人向けの味。冷蔵貯蔵中に風味が向上するという報告がある。
- 果皮・果肉: 果皮はやや厚めで、果肉は締まりがあり、しっかりした食感。果梗痕(スカー)が小さいため傷みにくい。
- 保存性・輸送性: 非常に高い。日持ちが良く商業流通・遠距離輸送に適する。
- 熟期の揃い: 房内で熟期が揃いやすく、機械収穫適性が高い。
耐寒性・耐病性
- USDA耐寒性ゾーン: 4〜7(一部資料では3〜7と表記)。北方圏での耐寒性が極めて高い。
- 耐暑性: ノーザンハイブッシュとしては比較的高く、欧州南部の暑熱地域でも栽培適応の実績がある。日本国内でも関東以北を中心に広く適応。
- 病害虫耐性: 一般的に "ブルーベリー主要病害に強い" と評されるが、具体的な抵抗性遺伝子情報は不明。商業栽培現場では「比較的丈夫で管理が容易な品種」と位置付けられる。
推奨栽培地
- 冷涼地〜中温帯(USDAゾーン4〜7)。低温要求量が高いため暖地(南九州・沖縄など)には不向き。
- 米国: ミシガン、オレゴン、ワシントン、ニュージャージー、ノースカロライナ北部、ブリティッシュコロンビア州など主要産地で広く栽培。
- 日本: 北海道・東北・北関東・中部・標高のある関西山間部・中国地方山間部など、十分な冬季低温が確保できる地域。
受粉相性
- 自家結実性: あり(self-fertile)。単独植栽でも結実するが、他品種との交配で果実サイズ・収量が増し、成熟もやや早まることが報告されている。
- 推奨受粉樹(日本国内ナーセリー推奨): Spartan(スパルタン)、Bluecrop(ブルークロップ)、Ivanhoe(アイバンホー)、Earliblue(アーリーブルー)、Legacy(レガシー)、Patriot(パトリオット)など、開花期が重なるノーザンハイブッシュ系。
商業利用状況
- 北米・欧州・南米・オセアニアの主要産地で世界的に広く栽培される代表的な早生商業品種。
- 機械収穫適性・果実硬度・大粒均一性・日持ちの良さから、生食用(フレッシュマーケット)・加工用・U-pick のいずれにも対応。
- 育種素材としても重用され、Draper(USPP15103P3、Duke × G751)など多数の特許品種で親として用いられている。
- 品種そのものはノンパテントのため、苗木の流通に技術料は発生しない。
日本での状況
- 日本のブルーベリー観光農園・専業農家・家庭園芸の双方で最も普及している早生ノーザンハイブッシュ品種の一つ。
- 国内の苗木業者(吉岡国光園、いしいナーセリー、花ひろば、ブルーベリースター三河、Stark Bro's 系列等)から広く流通しており、ホームセンター・園芸店でも入手しやすい。
- 観光農園では「シーズン開幕を担う早生主力品種」として、6月の摘み取り開始時期に主役となるケースが多い。
- 特に北海道・東北・北関東・中部山間部・北信越などの冷涼地で栽培実績が豊富。
- 流通価格や生産統計の品種別公的データは不明。
育成者注釈・特記事項
- 育成者 Arlen Draper はその後 Bluecrop 系統や多くの後続品種開発にも関与した USDA を代表するブルーベリー育種家。
- 「初心者でも育てやすい / 商業生産でも信頼できる」ノーザンハイブッシュ早生のスタンダード品種という二面性を持つ。
- 機械収穫・長距離輸送・冷蔵流通・冷凍加工いずれにも適応する点が、リリースから40年近く経過した現在でも世界的シェアを維持している主要因とされる。
- 欠点として「強い個性的な香味・酸味は弱め」「収穫初期は酸が立つ」「房離れが良すぎて完熟前収穫を招きやすい」などの指摘が一部の生食農園評価にある。
参考情報源
- Wikipedia: Duke blueberry
- Fall Creek Nursery(商業育苗大手・品種解説)
- Oregon Blueberry
- Stark Bro's
- Indiana Berry
- Plant Addicts(受粉相性チャート)
- Rutgers NJAES FS419 (Selecting Blueberry Varieties)
- Google Patents: 'Draper' USPP15103P3(Duke を交配親に使用)
- いしいナーセリー ブルーベリーパーフェクトガイド「デューク」
- ツクベリーやさと「デュークについて」
- ブルーベリーファームおかざき「デューク」
- ハスカップ&ブルーベリー風農園「Duke」
- 高山ガーデン「デューク(Duke)」
- 吉岡国光園 デューク苗木
- ResearchGate: 'Duke' Highbush Blueberry(Galletta et al.)
- North American Blueberry Council
- Atlantic Blueberry Company History