ペンバートン Pemberton
ノーザンハイブッシュ系
系譜・来歴
- 親系統: Katharine(キャサリン)× Rubel(ルーベル)と日本語の品種解説で広く記述されている。Katharineは1912年のBrooks交配系統に由来するCoville育成の代表的初期品種で、Coville博士の娘Katharine Woodburnに因んで命名された。Rubelは1912年に米国ニュージャージー州パインバレンズで野生選抜された原種系統で、現代のハイブッシュ品種の基礎親の一つ。
- 来歴: 交配は1920年代初頭(1921年頃)にCoville博士のもとで実施されたとされ、選抜・評価を経て1941年に公表(リリース)された。Coville博士は1937年に逝去しているため、Pembertonは「Coville育成・没後リリース」の14系統の一つに位置付けられる。USDA(米国農務省)とニュージャージー州ホワイツボッグ(Whitesbog/1927年以降ペンバートン研究所に移管)を拠点とした初期USDAブルーベリー育種計画の成果。
- 品種名の由来: 交配・選抜の現場であったニュージャージー州バーリントン郡ペンバートン(Pemberton Township/旧Whitesbog研究施設の所在地)に因む地名命名と推定される(現地由来は確実だが、命名理由の一次資料は不明)。
- 1942年時点で東部の生産者が扱っていた18品種のうち14品種がCoville選抜・育成由来であり、Pembertonもその一つに数えられる古典系譜。
樹体特性
- 樹勢・樹形に関する詳細データは公開HTML資料では限定的。一般に同時代のCoville古典品種は直立性〜やや開張性、中程度の樹勢を示すノーザンハイブッシュとして記録される。
- 耐寒性: ノーザンハイブッシュとして概ねUSDAゾーン4〜7相当(Vaccinium corymbosum一般値、品種固有値は不明)。
- 耐暑性: 北部ハイブッシュとして暑熱には強くなく、温暖地では生育・結実が劣る傾向(一般値)。
- 低温要求量: ノーザンハイブッシュ古典品種として概ね800〜1,000時間(7℃以下)が想定される(一般値、品種固有値は不明)。
結実特性
- 収穫期: 中生〜晩生(mid〜late season)。日本語の品種データベースでは「中生・中粒」、英語の品種ガイドでは「late-season variety」と記載され、地域・気候によって中〜晩生で評価が分かれる。
- 開花期: 中生(具体的な日付情報は不明)。
- 自家結実性: ノーザンハイブッシュは部分的自家結実性を持つが、商業栽培では他品種との混植による他家受粉で大幅に収量・果実サイズが向上する。Pemberton固有の自家結実性データは不明。
- 収量: 古典品種としては中程度と推定されるが、品種固有の数値データは公開HTML資料では不明。
果実特性
- 果実サイズ: 中〜大粒(medium to deep blue large berries/日本語資料では「中粒」とも記述)。
- 果皮色: 中程度〜濃い青色(medium to deep blue)、ブルーム(果粉)あり。
- 食味: 詳細な糖度・酸度データは公開HTML資料では不明。古典品種としてバランスの取れた標準的なハイブッシュ風味と推定。
- 裂果性・日持ち: 不明。
歴史的意義
- USDAブルーベリー育種計画の古典品種として、Coville博士(1867-1937)とElizabeth Coleman White女史によるニュージャージー州ホワイツボッグ/ペンバートンでの先駆的育種事業の成果の一つ。
- Coville博士は1911年にホワイツボッグを訪問して以来、White女史と協働でブルーベリー栽培化を進め、生涯で15品種、没後さらに14品種が公表された。Pembertonは没後リリース系統に属する古典ヘリテージ品種。
- 命名地ペンバートンはUSDA研究施設の移転先(1927年以降)であり、ブルーベリー栽培化の聖地として知られる。
商業利用状況
- 現代の商業生産では主流品種ではなく、新世代品種(Bluecrop、Duke、Liberty、Draper、Auroraなど)に置き換えられているヘリテージ/オールドカルチバーの位置付け。
- ウイルス病感受性: Pembertonはブルーベリー・スコーチウイルス(BlScV)およびブルーベリー・ショックウイルス(BlShV)に対して極めて感受性が高いことが報告されている。Aurora、Berkeley、Bluetta、Bluegold、Briggitta、Elliott、Liberty、Weymouth、Dixiらと並んで「extremely sensitive」分類で、感染すると年次的な激しい枝枯れと収量減を生じる。商業生産での衰退要因の一つ。
- 太平洋岸北西部(米国)の管理ガイドでは、認証ウイルスフリー苗の使用とアブラムシ対策が必須とされる。
日本での状況
- 日本国内のブルーベリー品種データベース(blueberryhouse.com、fruitplantsvariation.blogspot.com、berryslife.com など)に「ペンバートン」としてノーザンハイブッシュの古典品種として収載されている。
- 「USDA・F. V. Coville育成、1921年交配・1941年公表、Katharine × Rubel、中粒・中生」という基本情報レベルでの認知はあるが、国内での商業栽培・苗木流通は限定的で、コレクター・歴史品種愛好家・研究機関による保存的栽培が主体と推定される。
- 一般消費者向けの主要品種カタログ(日本ブルーベリー協会、ブルーベリーファクトリー岐阜など)では掲載されていない場合も多く、現役の主力品種ではない。
参考情報源
- Frederick V. Coville and the History of North American Highbush Blueberry Culture(Taylor & Francis Online)
- Frederick Vernon Coville Records on Blueberries(USDA National Agricultural Library, ArchivesSpace)
- Blueberry Growing Comes to the National Agricultural Library(USDA AgResearch Magazine, May 2011)
- Coville's Serendipitous Association with Blueberries Leading to the Whitesbog Connection(Rutgers University Libraries)
- The Delicious Origins of the Domesticated Blueberry(JSTOR Daily)
- 110 years of blueberry history(Italian Berry News)
- Managing blueberry viruses in the Pacific Northwest(Oregon State University Extension EM-9518)
- Blueberry (Vaccinium corymbosum)-Shock(PNW Plant Disease Management Handbook)
- Blueberry (Vaccinium corymbosum)-Virus Diseases(PNW Plant Disease Management Handbook)
- ブルーベリー全品種の特徴一覧表(fruitplantsvariation.blogspot.com)
- 品種一覧(blueberryhouse.com)
- ブルーベリー栽培品種 Berry's Life
- The Blueberry Industry(New Jersey Digital Highway)