レカ Reka
ノーザンハイブッシュ系
系譜・来歴
- 交配親: Earliblue(アーリーブルー)× Bluecrop(ブルークロップ)系統。米国植物特許 USPP6700P には「Earliblue, Bluecrop parentage」と明記され、選抜番号は No.17 とされる。
- 一部の販売店資料では、より詳細に「E-118(Ashworth × Earliblue)× Bluecrop」と記載される。
- 1969年に米国USDAから集められたノーザンハイブッシュの種子がニュージーランドに送られたことを起点に、ルアクラ農業研究センター(ハミルトン)にて Franklin H. Wood 氏により選抜・育成された。
- 1,000個体以上の実生から40系統に絞り込み、さらに10エリート系統が選抜された。1982年に完全反復試験区に植栽され、Reka は Puru、Nui と並ぶ3つのエリート系統の一つとして1985年に公表された。
- 「Reka」はマオリ語で「美味しい/甘美」「素しい」を意味する。
- HortResearch ブリーディングプログラムから15年間に発表された10品種のうち「最も成功を収めた品種」とされ、ニュージーランド国内のみならず欧州・北米でも広く適応する。
樹体特性
- 樹勢: 極めて旺盛(vigorous, fast-growing)。ノーザンハイブッシュ系の中でも特に成長が速い品種に位置づけられ、初心者にも育てやすいとされる。
- 樹形: 直立性〜やや開帳性(patent記載は "spreading"、苗業者表記は "upright")。茎にはわずかに毛がある。
- 樹高: 約1.2〜1.8m(4〜6 ft)、幅は約1.2m前後。
- 紅葉: 秋にバーガンディレッド(赤紫)の鮮やかな紅葉を見せ、観賞価値も高い。
- 根系: Vaccinium 属に典型的な細く浅い根。
結実特性
- 開花期: 白色花、ピンクの淡いブラッシュとピンクの細い縞が入る。日本では春期に開花(具体的時期は産地差あり、詳細は不明)。
- 収穫期: 早生〜中早生。ニュージーランド原産地では11月中下旬〜1月上旬(南半球)。北米では7月(early season)。日本では 6月上旬〜6月下旬(産地・年次により変動、岡崎産地等で記録)。
- 低温要求量: 800〜1,000時間(販売・栽培情報多数)。
- 自家結実性: 半自家結実性〜部分的自家結実性(partially / semi self-fertile)。Bluecrop や Earliblue など他のノーザンハイブッシュ系との混植による交雑受粉で着果率・収量が顕著に向上する。
- 結実年数: 植栽1〜2年で結実開始(若木のうちは摘果推奨)。特許記載では5年生以降で1株あたり約9.3kgの安定多収。
果実特性
- 粒の大きさ: 中粒〜中大粒。特許では平均約14mm、1.6g、灰青色(greyish blue)。日本資料では12〜14mm(やや小め中粒)〜中粒(標準)と評価される。
- 果皮: 灰青色(ブルーム良好)、果梗離脱痕(stem scar)は小さく乾いている(small dry scar)→輸送性・貯蔵性に優れる。
- 食味: 酸味のある爽やかなキレ味が特徴。完熟後期には酸味が抜け甘みが乗る。最大糖度は樹上完熟で約16°Brix(販売店情報)。「flavor-packed」「exceptionally rich-tasting」と評される濃厚風味。
- 食感: ノーザンハイブッシュ特有のパリッとした歯ごたえ。
- 用途適性: 生食、ジャム・ソース、製菓・スイーツのトッピングや原材料、冷凍保存。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性: 強い。USDA ハーディネスゾーン4〜8(資料により4〜7、4〜8A)。
- 耐病性: 大きな病害虫被害は少なく、相対的に丈夫な品種とされる(「Very few pests or diseases bother it」)。具体的な病害(ミイラ病・茎枯病等)への耐性データは公開資料では不明。
- 耐湿性: 多くの他品種より重粘・湿潤土壌への耐性が高い("more tolerant of heavy and wet soils than many other varieties")。これは Reka の大きな特長。
- 耐乾性: 中程度(fair)。
推奨栽培地
- 土壌適応性が極めて高く、軽い砂質土壌、ピート、粘質ローム(clay loam)まで幅広く適応。重粘・湿潤土壌でも生育良好な点が他のノーザンハイブッシュ系と一線を画す。
- 土壌pH: 4.3〜4.8 の酸性土壌が最適。
- 北米ではゾーン4〜8の北部冷涼〜温暖地に広く適応。ニュージーランド全域、欧州、北米でも広範に栽培される。
- 日本では東北〜南東北、本州中部の高冷地〜冷温帯地域での栽培が好適。比較的暖地でも適応性は高い(販売店情報)。
受粉相性
- 自家結実性は弱〜部分的。他のノーザンハイブッシュ系品種との混植が強く推奨される。
- 推奨受粉樹: Bluecrop、Earliblue、Duke、その他同時期開花のノーザンハイブッシュ系。
商業利用状況
- ニュージーランド国内では発表直後から商業栽培家に高評価で受け入れられた("an instant hit with the commercial growers of New Zealand")。
- HortResearch のブリーディングプログラムから出た品種の中で商業的に最も成功した品種。
- 欧州・北米でも広範に栽培され、Uピック農園・直売所・生鮮市場向けに適すると評される。
- 多収性(1株あたり 8〜12 lb ≒ 約3.6〜5.4kg、特許記載では成木で9.3kg)と、果梗痕が小さく乾いていることによる輸送・貯蔵適性の良さから、商業利用価値が高い。
- 米国では検疫上の理由でカリフォルニア州・オレゴン州への出荷不可(販売店情報)。
日本での状況
- 日本でもノーザンハイブッシュ系の主要品種の一つとして流通しており、苗木は花ひろばオンライン、恵農園等の専門店から入手可能。
- 観光農園(例:ブルーベリーファームおかざき)では開園当初からの主力品種として位置づけられ、シーズン序盤の収穫品種として活用。「酸味のキレ味」を好む消費者層に人気。
- 日本市場での評価: 樹勢が強く育てやすい、豊産性、湿った土壌でも比較的生育良好という点で家庭果樹・小規模農園にも導入されやすい。「ノーザンハイブッシュ系で育てやすさNo.1」と紹介する栽培家もいる。
- 一方、酸味が強い時期があるため完熟を待つ必要があり、生食専用としては成熟後期が推奨される。
- 完熟果が落果しやすいという指摘もあり、収穫タイミングの管理が必要。
育成者注釈・特記事項
- マオリ語の「Reka」(甘美な、美味しい)に由来する命名。
- 特許出願時の代理人記載によれば、当初の権利帰属は AgResearch Ltd、後に Horticultural and Food Research Institute of New Zealand Limited(HortResearch)へ移管された。
- 同時期にニュージーランドから発表された姉妹品種に Puru(USPP6701P)、Nui があり、いずれも Earliblue × Bluecrop 系統の選抜。
- 特許記載では原産地(ニュージーランド)における収穫期は11月中旬〜1月上旬で、収量の95%がクリスマス前に得られる早生品種。
- 同特許は花色を「白に淡いピンクのぼかしと細いピンクの縞」と記述している。
参考情報源
- Google Patents - USPP6700P Blueberry-variety Reka
- ISHS - Progress with Breeding Blueberries in New Zealand
- Willis Orchards - Reka Northern Highbush Blueberry Plant
- Nourse Farms - Reka Blueberry Plant
- Raintree Nursery - Reka Blueberry
- Edible Landscaping - Reka Blueberry PP#06700
- ブルーベリーファームおかざき - レカ
- 花ひろばオンライン - レカ ノーザンハイブッシュ系
- 埼玉県伊奈町 恵農園 - 品種一覧(ノーザンハイブッシュ)
- ブルーベリー全品種特徴一覧表