リヴェイル Reveille
サザンハイブッシュ系
系譜・来歴
- 親系譜(NCSU 公式表記): 雌親
NC1171× 雄親NCSF-12-L- 一部資料では雄親を「Fla. 61-7」と表記する例(日本語園芸サイト「Blueberry Maniax」)。NCSF プレフィックスは NCSU の選抜系統番号で、NCSF-12-L はフロリダ系統に由来する選抜と推察されるが詳細素性は 不明。
- 指示書記載の
G-180は本調査で確認できず、NCSU 公式ページの記載と一致しない(不明/要確認)。
- 来歴: 1970年代以降、NCSU 育種プログラムが Botryosphaeria dothidea による茎枯病(stem blight)の蔓延と、機械収穫適応性・果実品質改善という二大課題に直面し、サザンハイブッシュ系統(V. corymbosum × V. darrowi 等の種間交雑)を本格導入。Reveille はこの世代を象徴する初期成果のひとつであり、O'Neal とともに「優れた果実品質と機械収穫適性」を両立した先駆的品種として位置付けられる。
- 品種名の由来: 「Reveille」は仏語起源の英単語で「(軍隊の)起床ラッパ/集合喇叭」を意味し、早朝=早生(early-season)の象徴として早期成熟性を表現していると推測される(一次資料による由来明記は 不明)。
- 後代品種: Carteret、Lenoir、Beaufort 等 NCSU 後継品種の品種特性記述において、Reveille は樹勢・成熟期の比較基準(reference)として頻繁に引用される。
樹体特性
- 樹勢: かなり旺盛(fairly vigorous)。NCSU の品種特性比較では Lenoir と同等の樹勢とされる。一方、日本国内の長期栽培事例(愛知・岡崎の観光園)では「結実開始後に樹勢が衰え、年々枯死していった」との報告もあり、温暖湿潤環境では維持が難しい可能性。
- 樹形: 直立性、特に「very narrowly-upright」(細く垂直に立ち上がる)と表現される独特の細長い直立樹形。機械収穫適性の根幹となる形質。
- 樹高: 約 1.5〜2.1 m(5〜7 ft)。Hartmann's では 6〜7 ft、日本資料では 1.5〜1.8 m が目安。鉢栽培では 1〜1.5 m。
- 特徴: 細直立性により列間スペース効率と機械収穫機の通過性に優れる。秋葉はオレンジに紅葉。
結実特性
- 開花期: 4月中下旬(日本標準)。米国南部では晩冬〜早春。早期開花のため遅霜被害リスクがあり、霜害対策推奨。花色はピンク〜白の壷型。
- 収穫期: 早生(early-season)。
- 米国ジョージア州南部:5月上旬〜中旬(十分な低温時間が確保された年)
- 米国デラウェア/米中部大西洋(Georgetown 試験圃):6月11日初収穫、6月15日ピーク
- 米国カリフォルニア(Dave Wilson):6月7日〜6月23日
- 日本(関東標準):6月上旬〜中下旬
- O'Neal よりわずかに早く成熟する年が多い、と複数資料で一致。
- 低温要求量: 資料によりばらつきあり:
- 苗木業者系(Dave Wilson, Otto & Sons, Bay Laurel, Armstrong):400〜500時間(350〜500h レンジ)
- ジョージア州小規模果樹会議資料:約 700〜800時間(高チル SHB として記載)
- 当初指示の「500〜600h」は中間値帯としては概ね合致するが、出典資料ごとの差異が大きい。
- SHB 系の中では中〜高チル寄りで、暖地(Zone 9〜10 中心部)よりも中部大西洋〜上部南東部の 中チル帯(Zone 7〜8) に最適化されている点が他の SHB と一線を画す。
- 収量: 中程度で安定(moderate but consistent)。NHB 標準品種比でやや控えめだが毎年の変動が小さい。
果実特性
- 果実サイズ: 小〜中粒(small to medium)。直径 13〜17 mm、最大 17.5 mm 程度(日本資料)。商業現場では「中粒」評価が一般的で、現代の大粒志向品種(Draper、Duke 等)には及ばない。
- 果皮色: 明るいライトブルー(light blue)、果粉(ブルーム)あり。
- 果肉: 「super firm(極硬)」と評され、Reveille は 機械収穫向け鮮果用としては初の高品質硬果系 SHB として歴史的に位置付けられる。果皮はクリスプ/クランチー(パリッとした歯ごたえ)と複数資料で形容。
- 果梗痕(スカー): 小さく乾いた良好なスカー(excellent picking scar)。果実損傷が少なく、これが極優秀な日持ち(shelf life)の源泉。
- 食味: 完熟果は風味豊かで甘酸バランス良好。糖度(Brix)約 10〜15度(日本資料、平均 11.9度)。「ブルーベリー最高峰の食味」と評する日本の愛好家の声もあるが、過熟前は酸味が残る。
- shelf life(日持ち): 極優秀(very good post-harvest shelf life)。NCSU 品種群の中でも当時最高水準の貯蔵性を示し、機械収穫しても手摘み他品種より果実品質が良かったと評価。
- 裂果性: 降雨時に裂果(cracking)しやすい。雨除け栽培推奨は日本資料で繰り返し言及される。
機械収穫適性
- 位置付け: Reveille は NCSU が 「鮮果用機械収穫適応の最初の super-firm 高品質品種」 として開発・リリースした旗艦品種であり、これが本品種の最大の特徴かつリリース理由("the main reason for its release")。
- 機械収穫実績: NCSU の試験で、Reveille の機械収穫果実は他のノースカロライナ品種の 手摘み果実よりも品質が優れた(superior to hand-harvested fruit of other North Carolina cultivars)と公式に報告される。これは当時のブルーベリー業界において画期的な評価。
- 適合形質: ①極狭直立樹形 ②極小スカー ③極硬果 ④果実落下時の打撲耐性 が機械収穫適性を支える。
耐寒性・耐病性
- 耐寒性ゾーン: USDA Zone 7b〜10a(Finch Blueberry)。一部苗木業者は Zone 4 まで耐えると記載するが、これは SHB としては過大な記述で信頼性低い(Zone 4 適応は実質 NHB 級)。実用上は Zone 7〜9 が適正。
- 耐暑性: 良好(heat-tolerant)。中部大西洋〜上部南東部の夏季気温に適応。
- 耐病性: 茎枯病(stem blight, Botryosphaeria dothidea)、茎潰瘍病(stem canker)、ミイラ病(mummy berry)に対し 一定の耐性/抵抗性(some resistance)を有すると Finch Blueberry Nursery 等が記載。NCSU 育種プログラムの 1970 年代以降の中心課題が茎枯病耐性付与であった経緯から、Reveille は当時の改善品種に位置付けられる。
推奨栽培地
- 米国: 中部大西洋(Mid-Atlantic)から上部南東部(upper Southeast) の商業生産者向けに最適と評価される。具体的には North Carolina、Virginia、Delaware、Maryland、South Carolina 北部、Georgia 北部などの中チル域。
- 高チル要求のため、Zone 9〜10 の極暖地(フロリダ南部等)では低温不足で開花不安定となり、典型的低チル SHB(Emerald、Jewel 等)に劣る。
- 日本: 関東以西の太平洋側〜暖地で栽培可能。サザンハイブッシュ系として暖地適応性は中程度。低温不足リスクは小さく、関東〜九州で栽培実績あり。雨除け栽培が品質維持に重要。
受粉相性
- 自家結実性: 自家結実性あり(self-fertile/部分自家和合)と Bay Laurel Nursery 等が記載。ただし他家受粉により着果・果実サイズが向上するのは SHB 全般に共通。
- 推奨受粉樹: 同系統(Southern Highbush)の他品種。日本資料では以下が推奨:
- 'Misty'(ミスティー)
- 'Bladen'(ブレーデン)
- 'Gulf Coast'(ガルフコースト)
- 'O'Neal'(オニール)
- その他の同時期開花 SHB 品種
商業利用状況
- 1990 年リリース当時は 「機械収穫適応高品質鮮果用 SHB の初代」 として注目され、中部大西洋〜上部南東部の機械収穫商業園に導入された。
- 中粒・極硬・小スカー・極優秀な日持ちという果実形質は、長距離輸送と店頭日持ちが要求される鮮果流通において大きな利点。
- 一方、近年は果粒の大きさ・収量で勝る後継品種(Carteret、New Hanover、Pender、Legacy 等)への置き換えが進み、商業面積は縮小傾向。現代でも機械収穫研究や育種素材として遺伝的価値を保持。
- 加工(ジャム、冷凍、ジュース)にも適するが、本来は鮮果用途優先設計。
日本での状況
- 国内導入: 「リヴェイル」「リベイル」「リベール」など複数のカナ表記で流通。サザンハイブッシュ系の選択肢として 2000 年代から少数の専門苗木業者が販売。
- 流通状況: 主流品種ではなく、マニア層・愛好家向けの中堅マイナー品種に位置付けられる。花ひろばオンライン、グリーナリー、楽天等のオンライン園芸店で時期により取扱いあり(2025 年は花ひろばで生産なし表示)。観光農園での導入事例(愛知・岡崎ブルーベリーファーム)もあるが、後年「樹勢衰退・枯死」を理由に栽培終了との報告がある。
- 入手性: やや限定的。2 年生接木苗を中心に流通。
- 栽培評価: 食味は SHB 系トップクラスとの評価がある一方、温暖湿潤な日本気候では樹の長期維持が難しいケースが報告されており、初心者には推奨しづらい。雨除け、適切な樹齢管理(3〜4年目までは結実制限)、酸性土壌維持(pH 4.3〜4.8)が重要。
育成者注釈・特記事項
- 歴史的意義: ブルーベリー機械収穫鮮果用育種における 画期点(landmark cultivar)。それまで機械収穫は加工用途専用とされていた業界常識を、Reveille の super-firm 果+極小スカーが覆した。後の Carteret、New Hanover 等の機械収穫鮮果用品種開発の基盤となった育種素材。
- NHB / SHB 境界: 高チル要求(一部資料 700〜800h)と中部大西洋適応性から、典型的な低チル SHB ではなく、NHB と SHB の境界に位置する「中〜高チル SHB」として独特のニッチを占める。
- 限界点: 中粒・中収量という現代基準ではやや見劣りする面、降雨時の裂果、温暖湿潤地での樹勢維持の難しさが商業普及の制約となった。
- 育種家: James R. Ballington 博士は NCSU で長年 SHB/NHB 育種を主導し、Reveille のほか Lenoir、Beaufort、Carteret、Pender、New Hanover、Robeson 等多数のサザンハイブッシュ品種をリリース。
- 特許状況: 1990 年リリース時の米国植物特許の有無は本調査では確認できず 不明。指示書記載の「USPP9962」は別作物(ネクタリン 'Spring Sweet'、1997 年付与)であり、Reveille の特許番号としては誤りと考えられる。
参考情報源
- NCSU Blueberry Genetics & Genomics Laboratory – Reveille (Southern Highbush)
- NCSU Blueberry Genetics & Genomics Laboratory – Reveille (Variety Gallery)
- NCSU Blueberry Breeding Program History
- NCSU Blueberry Varieties (一覧)
- NCSU Horticultural Science – James Ballington
- Finch Blueberry Nursery – Southern Highbush Type
- Hartmann's Plant Company – Reveille Blueberry (Retail)
- Dave Wilson Nursery – Reveille
- Bay Laurel Nursery – Reveille Blueberry
- Armstrong Garden Centers – Reveille Blueberry
- Otto & Sons Nursery – Blueberry Reveille
- University of Delaware Weekly Crop Update – Choosing Blueberry Varieties for Delmarva
- Southern Region Small Fruit Consortium – Blueberry Cultivars for Georgia
- Google Patents – USPP19903 'Carteret'(Reveille を比較対象として記述)
- Google Patents – USPP9962(参考:'Spring Sweet' ネクタリン、Reveille とは無関係)
- ブルーベリーファームおかざき – リベール
- 花ひろばオンライン – リヴェイル苗(通販ページ)
- Blueberry Maniax – サザンハイブッシュ系品種別特徴
- greenery – ブルーベリー リベイル
- 楽天市場 hana-online – 【リヴェイル】 サザンハイブッシュ系 2年生接木苗