ブルーベリー品種図鑑

140品種を系統別に紹介 セボンマルシェ ↗

チルアワー(低温要求時間)とは

チルアワーとは、冬のあいだに 7.2℃(45°F)以下の温度に当たった積算時間のことです。低温要求時間・低温要求量・チル時間とも呼ばれ、英語では chill hours / chilling requirement と表記します。

ブルーベリーは、この低温を一定時間受けないと休眠から覚めません。植える土地の冬の寒さと、品種が求めるチルアワーが合っているか——これが品種選びで最初に確認すべき条件です。

なぜチルアワーが必要なのか

ブルーベリーを含む落葉果樹は、秋に葉を落として休眠に入ります。この休眠は、ただ寒いあいだ眠っているのではなく、「一定量の低温に当たること」が目覚めの条件になっています。冬の寒さを積算量として数え、必要量に達してはじめて、芽が春の暖かさに反応できる状態になります。

この必要量がチルアワーです。7.2℃(45°F)以下の時間を数えるのが最も一般的な方法で、当図鑑の各品種ページでも「低温要求量(チルアワー)」としてこの基準の数値を記載しています。

足りないとどうなるか

逆に、チルアワー要求の少ない品種を寒冷地に植えても「低温の摂りすぎ」にはなりません。ただしその場合の問題は別にあり、耐寒性が足りずに枝や花芽が凍害を受けることがあります。暖地向けの品種を寒冷地で育てるときに見るべきなのは、チルアワーではなく耐寒性(USDA Zone)のほうです。

系統別の目安

当図鑑に収録した品種の記載を集約すると、系統ごとの傾向は次のとおりです。

系統チルアワーの目安適地の傾向
ノーザンハイブッシュ系Northern Highbush概ね 800〜1,000時間寒冷地〜中間地。冬がしっかり冷える土地向き
ハーフハイブッシュ系Half-high概ね 800〜1,000時間寒冷地。ノーザンハイブッシュに準じる
ラビットアイ系Rabbiteye概ね 350〜700時間温暖地。暖地適応性が高い
サザンハイブッシュ系Southern Highbush150〜1,000時間と幅が非常に広い品種ごとに確認が必要。極暖地向けから中間地向けまである

サザンハイブッシュ系は「暖地向け」と一括りにできません。当図鑑収録品種でも、サンシャインブルーは約150時間で足りる一方、オザークブルーは800〜1,000時間を要します。系統名だけで判断せず、品種ごとの数値を見てください。

品種別チルアワー一覧

当図鑑の各品種ページで数値を確認できたものを抜き出しました。品種名をクリックすると詳細ページへ移動します。

ラビットアイ系(低〜中チル要求)

品種名チルアワー備考
ブライトウェルBrightwell350〜400時間
(資料により400〜450)
低〜中レベル。開花フェノロジーは500〜550時間級と一致するとの観察もある
クライマックスClimax約400〜450時間ラビットアイの中では低め。温暖地適性が高い
アラパハAlapaha約450〜550時間暖地適応性が非常に高い
ヴァーノンVernon約450〜550時間UGA公式・eXtension は450時間以下、植物特許明細書・国内業者は500〜550時間
パウダーブルーPowderblue約550〜650時間
(資料により550〜700)
多くの資料が約600時間と記載
ティフブルーTifblue約600〜700時間
(中心値650)
暖地適応性は高いが、極暖地では不足傾向
カラウェイCallaway不明1950年公表の歴史品種。固有の公表値は確認できず(400〜600時間と推定)

サザンハイブッシュ系(幅が広い)

品種名チルアワー備考
サンシャインブルーSunshine Blue約150時間
(一部資料150〜200)
極めて低く、温暖地・無霜地でも結実可能。1本でも実がなる
ニューハノーバーNew Hanover約500〜600時間複数業者資料で一致。低〜中チル要求
オザークブルーOzarkblue約800〜1,000時間SHBの中では高め。800時間以上確保できる地域で安定

ノーザンハイブッシュ系(高チル要求)

品種名チルアワー備考
ブルージェイBluejay約1,000時間
アーリーブルーEarliblue約800〜1,000時間
ブルーエッタBluetta約800〜1,000時間USDA Zone 3〜7 適応から推定。具体値は公的資料に明記なし
コビルCoville概ね800時間前後USDA一次資料の数値は確認できず、北米栽培ガイド等の標準的扱いに基づく
スパルタンSpartan概ね800〜1,000時間
パトリオットPatriot約800〜1,000時間資料により1,000時間以上との記載もあり
ハーディーブルーHardyblue約800時間以上
(800〜1,000との記載も)
オリンピアOlympia800時間以上比較的高い要求量だが、温暖な冬の地域にも適性ありとされる
ハンナズチョイスHannah's Choice不明公的文書に明示なし。業者表示に500〜600時間の例があるが出典の信頼性は中程度
アトランティックAtlantic不明古典品種として一般に800〜1,000時間程度と推定
コンコードConcord不明NHB古典銘柄として800〜1,000時間相当と推定
スタンレーStanley不明NHB系として800時間以上を要すると推定

ハーフハイブッシュ系ほか(高チル要求)

品種名チルアワー備考
チペワChippewa約1,000時間以上Raintree Nursery 表記
ノースブルーNorthblue約800時間以上寒冷地適応品種であり明確な高チル要求型
ポラリスPolaris不明極寒地育成。一般にハーフハイブッシュは800〜1,000時間程度とされる
セントクラウドSt. Cloud不明ハーフハイ系一般として約800〜1,000時間が標準的
フレンドシップFriendship不明極寒地由来の野生選抜。高チル要求型(800〜1,000時間以上相当)と推定
おおつぶ星Ootsububoshi不明農林水産省登録情報・群馬県農業技術センター公開資料にも具体値の明示なし

品種を選ぶときの考え方

  1. まず自分の土地の冬の寒さを把握する。気象庁の過去データで、11月〜2月に7.2℃以下となった時間を数えれば概算できます。日平均気温からの推定式もありますが、地形や標高で実際の値は変わるため、あくまで目安として扱ってください。
  2. 次に、その値を満たす品種を選ぶ。要求量が土地の実力を上回る品種は避けます。
  3. チルアワーだけで決めない。耐寒性(USDA Zone)、収穫期、受粉樹の要否、樹高、果実サイズも同時に見る必要があります。特にラビットアイ系は自家不和合性のものが多く、単植では実がつきません
  4. 開花期のずれに注意する。チルアワー要求が違う品種を混植すると開花期がずれ、受粉樹として機能しないことがあります。受粉樹は開花期が重なる品種から選んでください。

数値を読むときの注意

この図鑑について

ここに載せた数値は、当図鑑の各品種ページに記載した内容を集約したものです。出典は各育成機関・大学(USDA-ARS、UGA、ミネソタ大学、Rutgers NJAES 等)・苗木業者の公開情報で、個別の出典は各品種ページに記載しています。

作成・編集は、群馬県高崎市倉賀野でブルーベリーを栽培しているセボンマルシェです。自分たちの畑の品種選びのために調べた内容を、そのまま公開しています。

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